2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07J01373
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
田中 陽 The University of Tokyo, 大学院・工学系研究科, 助教
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Keywords | 心筋細胞 / 血管細胞 / アクチュエータ / マイクロデバイス |
Research Abstract |
近年、数cm角のガラス基板に刻んだμmオーダーの流路中に化学プロセスを集積化する研究が注目されており、微小空間の物理特性効果を利用した分析、合成、細胞実験などの高効率なマイクロ化学プロセスが実現されてきた。このうち、細胞実験に関する研究は近年非常に多く報告されているが、ほとんどはマイクロ空間特性を利用した細胞実験システムである。これに対し、本研究では、心臓および血管の流体駆動・制御機能に着目し、心筋細胞および血管細胞とマイクロデバイスを融合した、電力不用の新原理の流体デバイスを実現することを着想した。以上をふまえ、本研究の目的は、心血管細胞の機能を利用したバイオマイクロデバイスの創成とした。今年度は血管平滑筋細胞を用いたマイクロ流体制御デバイス開発のための基礎検討という課題に取り組んだ。 血管は、平滑筋細胞の内側を内皮細胞が覆っており、内皮細胞が血液中の化学・力学刺激を感知して様々なシグナル物質を放出し、これが平滑筋細胞に作用して血管を弛緩・収縮させ、血流を制御している。血管細胞機能の利用により、マイクロデバイスに流体制御機能を付与できると考えた。 血管平滑筋細胞駆動型マイクロデバイスの原理を検証するために、柔軟な材料で作製したチューブの周りに平滑筋細胞を接着させ、これを刺激によって収縮させ、チューブを変形させ、流量制御デバイスとして使用可能であることを実証することを着想した。そのために、柔軟で生体適合材料であるポリジメチルシロキサン(PDMS)で内径1mm、外径1.4mmのチューブを作製し、この周りにラット大動脈平滑筋細胞を培養・接着させ、その生存を確認した。この細胞を、内皮細胞由来平滑筋収縮物質エンドセリン-1で刺激したところ、細胞・チューブの動きは確認できなかったが、血管平滑筋細胞に関する血管デバイス作製のための基礎的知見が得られた。
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Research Products
(3 results)