2009 Fiscal Year Annual Research Report
量子情報処理の実現に向けたエンタングルメントの理論的研究
Project/Area Number |
07J01377
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
東 浩司 Osaka University, 大学院・基礎工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 量子情報 / エンタングルメント / 長距離量子通信 / 量子メモリー / 量子コンピュータ |
Research Abstract |
本研究では、量子情報処理におけるエンタングルメントの本質的な役割を明らかにすることを通じ、量子情報処理の実現を促すことを目的としてきた。本年度の主たる研究成果は、(1)コヒーレント光を用いたエンタングルメント生成方式の提案(Phys.Rev.A80,060303(R))、(2)コヒーレント光に基づく任意のエンタングルメント生成の理論限界の導出(Phys.Rev.A81,022325)、そして(3)量子中継方式と量子コンピュータを実現する単一モジュールの発見の3点である。 成果(1)では、非共鳴レーザー光と量子メモリーとの相互作用に基づき、離れた量子メモリー間にエンタングルメントを生成する方式を提案した。この方式は線形光学素子と光子数検出器の単純構成であるにも関わらず、既存のエンタングルメント生成方式の効率を凌駕する。また、成果(2)においては、その相互作用と通信路中で発生する光損失を仮定し、任意のエンタングルメント生成方式が従う理論限界を導出した。その結果、(1)の成果で与えられたエンタングルメント生成方式は、その理論限界を到達する方式であることが明らかとなった。さらに、本年度の研究により、そのエンタングルメント生成方式は、実は離れた2つの量子メモリーのパリティを非破壊に測定する装置として機能していることがわかった。このパリティ非破壊測定の役割は多岐にわたり、この測定装置だけで、量子通信の長距離化に必須な量子中継方式が構築可能であることが明らかとなった。さらに、その装置を洗練していくことにより、最終的には量子コンピュータすらも実現可能であることが明らかになった。従って、この測定装置は長距離量子通信と量子コンピュータを単独で構築できる単一モジュールと形容できる。
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Research Products
(10 results)