2008 Fiscal Year Annual Research Report
エキノマイシン生合成遺伝子群を用いた非リボソーム依存型ペプチド合成酵素の機能解析
Project/Area Number |
07J01378
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
纐纈 健人 Hokkaido University, 大学院・理学院, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 非リボソーム依存型ペプチド合成酵素 / エキノマイシン / テトラヒドロイソキノリン / SF-1739HP / サフラマイシン / デヒドロ-L-アルギニン / 生合成 / 酵素合成 |
Research Abstract |
エキノマイシンやSF-1739HPの非リボソーム依存性ペプチド合成酵素(NRPS)を用いた物質生産を目指し、研究に取り組んだ。まず、前年度から取り組んだエキノマイシンチオエステラーゼを用いた酵素的マクロラクトン化の研究成果をChemistry and Biology誌に掲載することができた。 一方、前年度の研究を継続し、テトラヒドロイソキノリン化合物SF-1739HPの生合成研究に取り組んだ。まず、デヒドロ-L-アルギニンを生成する酸化酵素Cya16の機能解析を完了した。これにより、SF-1739HPの骨格は、グリコール酸、チロシン誘導体、デヒドロ-L-アルギニンより生合成されることが推定できた。次いで、必要となるNRPSの大量発現を行い、本骨格の酵素合成を検討したが、現在まで成功に至っていない。 そこで、この目的を達成するため、SF-1739HPに類似した化合物であるサフラマイシンに着目した。サフラマイシン類の生合成遺伝子群は、1995年に初めて同定されたが、現在まで、テトラヒドロイソキノリン骨格の酵素合成は報告されていない。 私は、これまでの実験から得た知見を基に鎖状ペプチドアナログとチロシン誘導体を独自に設計、化学合成した。これらに、非リボソーム依存型ペプチド合成酵素であるSfmCを作用させることで、一挙に5環性のテトラヒドロイソキノリン骨格が構築されることを見出した。これにより、長年不明であった本骨格の酵素合成を世界で初めて実証することに成功した。一つの酵素が複数の単純な基質から一挙に複雑な骨格を作り上げることは、大変興味深いことであり、本結果は、生合成研究分野において、酵素の新しい可能性を提供するものであると期待する。
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Research Products
(3 results)