2008 Fiscal Year Annual Research Report
ガス摩擦加熱を受けたダストの溶融と流動:コンドリュールとコスミックスフェリュール
Project/Area Number |
07J01385
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
保田 誠司 University of Tsukuba, 大学院・数理物質科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 原始太陽系星雲 / コンドリュール / 複合コンドリュール / 流体シミュレーション / 液滴衝突 / 衝突条件 / 微惑星形成 / ダスト |
Research Abstract |
地球に落下した多くの隕石に含まれる球状ケイ酸塩構成物をコンドリュールと呼ぶ。コンドリュールは原始太陽系でダストが加熱・溶融し冷却することで形成されたと考えられている。私は二つのコンドリュールが付着している複合コンドリュール(2つのコンドリュールが付着しており、それぞれが形を保つ)に注目している。これらはダストが溶融現象を経験中に衝突過程を経て形成されたと考えられているが、どのような衝突(衝突速度、角度、粘性、サイズ)により形成されたのか明らかになっていない。 そこで、フォルステライト液滴同士の衝突を三次元流体計算で再現することで衝突条件について調べた。衝突結果は「合体」、「伸張分離」、「破壊」の3つに分別することができ、それらの境界はエネルギー収支の議論で解析的に表現できる。次に形状保持条件について、衝突した液滴の変形時間と固化時間を比較して調べた。液滴の変形は高速衝突の場合、衝突の動圧に支配され、変形時間は液滴のすれ違う時間程度となり、低速衝突の場合、表面張力に支配され、変形時間は液滴の振動をバネの減衰振動でモデル化することで表現できる。この変形時間を固化時間と比較した結果、形状保持条件を満たす衝突は動圧支配かつ、液滴の粘性が330poise以上必要であることがわかった。私は、数値計算結果を解析的に表現したため、非常に汎用性の高い、複合コンドリュール形成のための衝突条件を求めることに成功した。この結果を用いることで、既存の形成モデルの検証を衝突条件という新しい観点から検証することができ、コンドリュール形成環境に対する新たな制限をつけることが可能になるだろう。
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Research Products
(7 results)