2008 Fiscal Year Annual Research Report
メダカ主要組織適合性抗原複合体領域の種内多型解析及び進化機構の解明
Project/Area Number |
07J01392
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
塚本 健太郎 The University of Tokyo, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(DC2)
|
Keywords | 主要組織適合性抗原複合体 / 免疫プロテアソームサブユニット / メダカ |
Research Abstract |
ニホンメダカOryzias latipesの主要組織適合性抗原複合体領域(MHC)の進化過程を明らかにするため、脊椎動物MHCの基本構造はクラスI抗原提示に関わる機能関連遺伝子の二型性に基づくものであると仮説を立て、クラスI抗原提示に関与するMHCクラスIA遺伝子(UAAとUBA)と免疫プロテアソームサブユニット遺伝子(PSMB8とPSMB10)のメダカ野生集団を用いた多型解析を行った。方法としてニホンメダカ野生集団(10地点、合計1245個体)について、PSMB10、PSMB8及びMHCクラスIA遺伝子(UAAとUBA)にそれぞれ特異的なプライマーを設計しPCRを行い塩基配列を決定した。この結果、PSMB10とPSMB8はハプロタイプを形成して二型性(N型ハプロタイプとd型ハプロタイプ)を示すことが明らかとなった。一方、UAAとUBAの抗原ペプチドと結合するα1とα2ドメインをコードするエクソンは多型を示し、明確な二型性は認められなかった。以上より、哺乳類MHCとは異なりメダカMHCにおいては、PSMB8とPSMB10を含む領域の二型性と、MHCクラスIA遺伝子の多型性の組み合わせにより、抗原提示の多様性を保証していると考えられる。 また、ニホンメダカで明らかとなったPSMB10とPSMB8の二型性の起源を明らかにするため、メダカ近縁種である3種、O.celebensis、O.matanensis及びO.marmoratusの野生個体(合計400個体)について両遺伝子の多型解析を行った。解析の結果、解析した全ての種においてもPSMB10とPSMB8の二型性が認められた。以上の結果は、PSMB8/PSMB10の二型性の起源はメダカ属内での種分化に先行し、平衡選択により各集団で少なくとも3千万年もの間維持されてきたことが示された。
|
Research Products
(2 results)