2009 Fiscal Year Annual Research Report
non-LTRレトロトランスポゾンの転移における細胞DNA修復系の寄与の解明
Project/Area Number |
07J01450
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
小島 健司 Tokyo Institute of Technology, 大学院・生命理工学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | non-LTRレトロトランスポゾン / 転移 / 修復系 |
Research Abstract |
前年度の研究において、ヒト、チンパンジー、オランウータン、アカゲザルのゲノム配列比較により、ヒト特異的な挿入、チンパンジー特異的な挿入を網羅的に取得する手法を開発した。本年度は得られた種特異的な挿入の解析を進め、3タイプの新しい転移産物を発見した。1つ目は5'UTRが大きく欠失したL1である。これは、欠失した配列がGTで始まり、AGで終わる事、および複数のL1で全く同じ領域が欠失することから、スプライシングされたL1のRNAが逆転写され、転移することによって生じたと考えられる。2つ目は3'UTRの配列が通常のL1と全く異なったL1である。これは2段階の転移によって起こる事が明らかになった。最初の転移では、3'UTRの末端がポリAを残して削れる。続く転移では、削られたL1が下流の非L1配列を伴って転移する。この転移は転写がポリAの下流まで続けて起こり、そのRNAが逆転写される事で起こる"3'transduction"によると考えられる。3番目は本来7SL RNAに由来する2つの単位が並ぶ転移因子であるAluの前側半分だけが転移したものである。他の霊長類ゲノムも含めた相同座位の配列比較から、通常のAluの挿入の後ろ側半分だけが組換えにより欠落し、前側半分だけになる現象が起こる事が明らかとなった。また、そのようにしてできた前側半分が単独で転移することも明らかとなった。 2番目の機構にかかわる宿主因子は明らかではないが、1番目と3番目の機構では、宿主のスプライソソームおよびDNA修復酵素がレトロトランスポゾンの構造を変化させる。このようにしてできた新しい構造を持ったレトロトランスポゾンが転移する活性を持っているという事実は特筆に値する。すなわち、宿主による転移因子の改変が行なわれ、新規の転移因子の転移は以前のものとは異なった影響を宿主に与える。宿主因子は間接的に進化に貢献している。
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Research Products
(5 results)