2007 Fiscal Year Annual Research Report
non-LTRレトロトランスポゾンの転移における細胞DNA修復系の寄与の解明
Project/Area Number |
07J01450
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
小島 健司 Tokyo Institute of Technology, 大学院・生命理工学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | non-LTRレトロトランスポゾン / 転移 / 修復系 |
Research Abstract |
バイオインフォマティクスを用いたレトロトランスポゾンの挿入の解析では、これまで2種類の手法が用いられて来た。1つは挿入によって形成されるレトロトランスポゾンの両側の重複配列を利用する手法、もう一つは2種のゲノム配列の比較からレトロトランスポゾンを含んだ挿入を抽出する手法である。しかし、前者では、偶然配列が一致した場合と区別が出来ない、後者では、一方の種に起こった挿入と他方の種に起こった欠失とを区別できない、という大きな問題点がある。これらの問題はこれまで見過ごされて来たが、挿入機構を正しく理解するためには無視することはできない。 この2つの問題を克服するため、本研究では、ヒトとチンパンジーとの間でゲノム配列を比較し、アカゲザルの配列を外群とすることでヒト特異的な挿入およびチンパンジー特異的な挿入をそれぞれの種特異的な欠失と区別することに成功した。挿入にはSINEのAluが最も多く、次いでnon-LTRレトロトランスポゾンのL1、他にprocessed pseudogeneやLTRレトロトランスポゾンなどが含まれていた。これら種特異的な挿入を、全長が挿入されているかく、5'側が逆位しているか、3'側に余分な配列が付加されているかなどの点について解析したところ、3'側に余分な配列が付加されている割合はこれまで考えられて来たよりも低いこと、L1とSINE、processed pseudogeneの間でその頻度には違いがあることが明らかとなった。これらの現象がL1の性質によるものか、あるいは宿主修復系などの関与があるのかについては詳細に解析を行なう必要があるが、そのための基礎データを揃えることができた。
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