2008 Fiscal Year Annual Research Report
可視光誘起による電子伝達回路を内包したゲルの創成と人工光合成の試み
Project/Area Number |
07J01457
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
桶葭 興資 The University of Tokyo, 大学院・工学系研究科, 特別研究員(DC1)
|
Keywords | ゲル / 人工光合成 / 水素 / 酸素 |
Research Abstract |
本研究では、ゲルの三次元網目を利用して、可視光誘起による電子伝達回路を持つ組織構造を構築し、可視光照射により水から水素と酸素を発生する人工光合成システムの実現を大目標とする。20年度では19年度に引き続き、光エネルギー変換システムの完全内包型高分子ゲルの創成に向けて、ゲルの三次元網目を利用して可視光誘起による電子伝達回路を持つ組織構造を構築し、可視光照射により水から水素と酸素を発生する人工光合成システムの実現をねらった。 システムの構築に当たり、電子伝達回路の水素発生側および酸素発生側のゲルシステムをそれぞれ構築し、人工光合成システムの実現に向け、反応の各過程の円滑化をはかった。 (1)水素発生ゲルシステムの構築 電子伝達回路に必要な光増感部位および水素発生触媒をゲル内に構築し、従来の低分子溶液の水素精製よりもより効率的に水素を生成することが分かった。これより、光増感部位と水素発生触媒がゲル内で水素生成反応に効率的に電子を伝達する環境があることが分かった。これより、ゲル内に他の構成要素を組織的に組み込むことで、人工光合成ゲルシステムの実現が可能であることが期待される。 (2)酸素発生ゲルシステムの構築 ゲル内に酸素発生触媒を組込み、可視光照射により酸素が生成した。ゲル内において十分な酸素生成を示し、組み込んだ電子伝達回路が円滑に進行していることが分かった。さらに、ゲルを構成するナノ粒子および高分子の構造解析から、安定な分散状態を形成していることが分かった。 (1)および(2)の電子伝達回路において、各構成要素がゲル内で高効率に機能する条件を探索し、高分子を組織的に導入することで、人工光合成ゲルの創成が実現可能と考えられる。
|
Research Products
(8 results)