2008 Fiscal Year Annual Research Report
がん幹細胞の自己複製を誘導する分子基盤の解明とその制御
Project/Area Number |
07J01463
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
長濱 由美 Osaka University, 医学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | PSF1 / 癌 / プロモーター / バイオイメージング |
Research Abstract |
PSF1の転写活性をがん細胞内でイメージングし、がん幹細胞の増殖を個体内で可視化する目的で、PSF1遺伝子のプロモーター領域の遺伝子の単離と、このプロモーター遺伝子を用いた細胞内における細胞周期とPSF1遺伝子の転写活性に関しての基礎データーを蓄積した。上記のプロモーター遺伝子制御下にEGFPを発現するベクターを作製し、マウス腫瘍細胞株(colon26、LLC)に遺伝子導入し、安定細胞株(colon26、LLC-PSF1-EGFP)を樹立した。colon26、LLC-PSF1-EGFPをヌードマウスに移植し、移植片から腫瘍細胞を採取し、EGFP発現強度により細胞を分画し解析を行った。EGFP強度とPSF1 mRNAの発現は相関し、EGFPの強度の高いものは移植腫瘍細胞全体に比べて、SおよびG2/M期の細胞が多いことが分かった。さらに、コロニーアッセイにより、EGFP強度の高いがん細胞は、大きなコロニーを形成することが判明した。またEGFPの発現の高い細胞ほど、マウスにおける造腫瘍能も高いことから、PSF1の転写活性の高い細胞群は、分裂活性の高い悪性の細胞群であることが示唆された。このPSF1の転写活性をイメージングする方法を用いることで、腫瘍組織中で、分裂活性の高い細胞をイメージングし、個体の腫瘍モデルに応用することが可能となった。局在解析の結果、EGFP強度の高い細胞は癌組織の中で、幹細胞ニッチに重要と考えられている傍血管領域に局在することが判明した。さらにPSF1の発現量が高い癌細胞の方が浸潤能、転移能が高いことが分かり、これらの細胞群が高い転移能を有する悪性度の高いがん細胞分画であることが示唆された。これらの成果は、本年度の日本癌学会で報告した。
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Research Products
(2 results)