2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07J01486
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
石原 祐樹 Tohoku University, 大学院・理学研究科, 特別研究員(DC1)
|
Keywords | シガトキシン / 電位依存性Na^+チャネル / 分子プローブ / 電気生理学実験 / タンデムラジカル環化反応 |
Research Abstract |
シガトキシンは、主に熱帯・亜熱帯地方で頻繁に発生する世界最大規模の自然毒食中毒シガテラの主要原因毒である。その毒性は、神経細胞に存在する電位依存性Na^+チャネルに結合・活性化して発現する。電位依存性Na^+チャネルは、感覚・思考・運動など多くの生命活動に関わる重要な膜タンパク質であるが、有機化学レベルでの動的挙動は解明されていない。我々は、シガトキシンの合成化学的供給による毒性発現機構の解明およびシガテラ中毒の治療・予防法の開発を研究目的としている。 本研究において私は、従来まったく知ることのできなかった電位依存性Na^+チャネルにおけるシガトキシンの結合部位(サイト5)の位置・その詳細な結合様式に関する情報を得るため、合成した51-hydroxyCTX3Cから分子プローブの創製を試みた。シガトキシン類は複数の水酸基を有するため、その選択的なラベル化は困難であった。しかしながら、リンカーの一部としてmonoBoc-Glycine、diBoc-Glycineを使うことでそれぞれB環部水酸基、M環部水酸基を選択的に化学修飾することができることを見出した。さらに、それら誘導体からB環部・M環部-ビオチンコンジュゲート体をそれぞれ合成した。電気生理実験の結果、M環部-ビオチンコンジュゲート体は天然物と類似した効果を示したが、B環部-ビオチンコンジュゲート体は全く効果を示さなかった。これらの結果はシガトキシンの電位依存性Na^+チャネルに対する結合様式を考察する上で極めて重要な知見である。 また、1,5-水素移動を利用するタンデムラジカル環化反応の開発にも成功し、これまでに報告例のない三環構築型収束的ポリエーテル合成法を確立した。今後、様々な縮環形式に適用可能か検討していく予定である。
|
Research Products
(2 results)