2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07J01486
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
石原 祐樹 Tohoku University, 大学院・理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | シガトキシン / 電位依存性Na+チャネル / コンフォメーション変換 / シガトキシンアナログ / 細胞毒性 |
Research Abstract |
シガトキシン類は、熱帯・亜熱帯地方で頻繁に発生する世界最大規模の自然毒食中毒シガテラの主要原因毒である。その毒性は、神経細胞に存在する電位依存性Na^+チャネルに結合・活性化して発現する。電位依存性Na^+チャネルは、感覚・思考・運動など多くの生命活動に関わる重要な膜タンパク質であるが、有機化学レベルでの動的挙動は解明されていない。シガトキシン類の毒性発現には、9員環F環部のコンフォメーション変換による分子運動が重要であると示唆されているが、実験的な証拠はなかった。そこで、F環部の構造を原子レベルで改変したシガトキシンアナログを合成し、その機能評価を計画した。 当研究室はすでに51-hydroxyCTX3Cをはじめとするシガトキシン類の全合成法を確立している。今回、全合成中間体からF環部が8員環である剛直なアナログ、F環部を10員環に拡大したアナログとF環部が縮環していない柔軟なアナログを合成した。生物活性評価の結果、F環部が8員環であるアナログと縮環していないアナログは天然物より毒性が著しく低いことがわかった。また、コンフォメーション変換が可能なF環部が10員環であるアナログは、天然物より約50倍弱いものの、顕著な細胞毒性(EC_<50>=240pM)を有することがわかった。これらのことから、F環部が9員環であることによる分子中央部の適度な柔軟性がシガトキシン類の毒性発現に極めて重要であることが明らかになった。
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Research Products
(6 results)