2008 Fiscal Year Annual Research Report
原子集団と光の集団相互作用による多次元エンタングルメントの生成とその評価
Project/Area Number |
07J01523
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
井上 遼太郎 Tokyo Institute of Technology, 大学院・理工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 冷却原子集団 / エンタングルメント / ラゲール・ガウシアンモード |
Research Abstract |
質量を持った,局在させられる量子情報の担体やそれらのエンタングルメントの実現,すなわら量子ネットワークの構築は,現実的な量子情報処理システムの開発における中心的な課題である.量子情報に関する理論研究は主に2次元の量子系(qubit)を研究の対象として発展してきたが,近年ではより一般的なd次元め量子系(qudit)についても盛んに議論されており,quditを用いたプロトコルの,qubitのそれに対する優位性が指摘されている.この重要性を鑑みて,冷却原子集団と線形光学素子を用いて,原子集団-単一光子間に軌道角運動量に関する多次元エンタングルメンドを生成および制御する技術を確立することを目的としで実験研究を行った. 前年度中の研究で原子集団-光子間に多次元のエンタングルメントが生成されている証拠を実験的に確認することには成功したものの,その評価に際してノイズの影響を差し引くことが必要であったため.得られたエンタングルメントの多次元量子情報処理のリソースとしての有用性には疑問を呈さざるを得なかった.今年度の研究ではSN比の改善を行い,ノイズを含めた評価においてもなお原子集団と光子とが多次元でエンタングルしていることを確認できた. 本研究で得られたエンタングルメントを利用することで,原子と親和性の高いオンデマンドな条件付単一光子源を実現できる.得られた条件付単一光子め単一光子性をアンチヌリレーションパラメタによって評価し,発展的な研究を進めるにあたって十分な性能を持った単一光子源が実現できていることを確かめた.毎秒5カウント程度のフラックスが得られる励起確率において,アンチコリレーションパラメタは0.017±0.009であった. 本研究の最終目的は原子集団間に多次元のエンタングルメントを生成・評価すろことである.来年度の研究に向けて、2つ目の冷却原子集団を新たに用意した.
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Research Products
(3 results)