2007 Fiscal Year Annual Research Report
無限エネルギーゲージ理論と無限次元モジュライ空間の幾何
Project/Area Number |
07J01530
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
塚本 真輝 Kyoto University, 大学院・理学研究科, 特別研究員(DC1)
|
Keywords | 正則写像 / プロディ曲線 / 無限次元 / モジュライ空間 / 平均次元 |
Research Abstract |
複素平面から複素射影空間への正則写像であって、その微分のノルムが1以下のもの(プロディ曲線)全体のなすモジュライ空間の研究を行った。この空間は無限次元の空間であるが、その「平均次元」を評価する技術を研究した。具体的には、平均次元の下からの評価を変形理論の考え方を無限次元の状況に応用して行った。(平均次元の上からの評価については、当該年度以前からも研究があった。)この研究によって、ブロディ曲線の「平均エネルギー」がモジュライ空間の平均次元と関連してくることがかなり、はっきりしてきた。さらに、現時点ではまだ予想の形ではあるが、有理型函数であってブロディ曲線であるものの成すモジュライ空間の平均次元の値を、具体的に決定できる可能性が出てきた。(それは、「平均エネルギー」の上限値を決定せよ、という問題が重要な問題であることを示唆する。)以上の研究によって、無限次元モジュライ空間の幾何学の研究というものが、絵空事ではなく、現実的な研究課題であることがはっきりしてきたと思われる。これは広大な未知の研究分野が存在することを示唆しているように思う。そして、上で述べた、平均次元の下からの評価で用いた変形理論の考え方は、ブロディ曲線に限らず、他の状況、例えばヤン・ミルズゲージ理論における反自己双対方程式の解の成すモジュライ空間の平均次元の研究においても、応用可能な手法である可能性が高いと思われる。従って、それは無限次元モジュライ空間の幾何学の研究における、基本的な手法・考え方のプロトタイプを成すものとなる可能性を有する。
|