2008 Fiscal Year Annual Research Report
パゾリーニと20世紀イタリア短詩形:ヨーロッパと日本の詩の影響
Project/Area Number |
07J01535
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Research Institution | Tokyo University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
土肥 秀行 Tokyo University of Foreign Studies, 外国語学部, 特別研究員
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Keywords | 短詩形 / 現代イタリア文 / パゾリーニ / ウンガレッティ / 下位春吉 |
Research Abstract |
初年度に行ったローマ国立図書館や国内における資料収集によって、テーマであるイタリアの短詩形における日本の詩の影響に関して、重要な役割を演じたのが下位春吉であることを確認した。その結果は「イタリア図書」誌上における2度の連載にあらわれている。今後、出版を目指していく下位についての単行本において、日本の詩の影響についてまとめられるだろう。 初年度より継続して行ってきた、イタリアにおいてもっとも有名な歌人である与謝野晶子の受容についての調査は、その成果が論考「近代歌曲の詩人たち」にまとめられた。前衛である日本の詩歌の音楽との親和性について触れた論となった。 年次計画に記したとおり、フィレンツェ大学の日本文献学講座の主任である鷺山郁子教授との共同研究「日本・イタリア詩の韻律の比較」(2001年より実施)の最終成果を、11月にボローニャ大で行われた国際シンポジウムの折に、鷺山教授の発表に協力するかたちで実現することができた。この国際シンポジウムでの発表において、パゾリーニの日本での受容を紹介するだけでなく、20世紀初頭から訳されてきた日本文学の少なからぬ恩恵をパゾリーニが受けたことを示せた。よってパゾリーニという特定の作家研究だけでなく、現代イタリア文学史の広い範囲に影響する重要な指摘としてイタリアの研究者に受けとめられた。 また日本文学史家であるローマ大学のオルシ教授、マストランジェロ教授とは、11月のローマ大学でのワークショップの際に、下位の文学活動の実際の影響力について貴重な意見交換ができた。 短詩形をもっとも革新的に用いた詩人ウンガレッティについての資料の精査は、これから一連の論考として発表していくが、まずは1月の口頭発表「初期ウンガレッティとハイク」に成果の一部が紹介された。 2月にはボローニャ大学イタリア文学科にて、ステファノ・コランジェロ教授との共同研究の成果発表の場として、20世紀文学における翻訳の問題についての特別講義を行った。専門家の評価だけでなく学生の関心も高く、今後も継続してボローニャ大研究者との共同研究を続けていくことになった。
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Research Products
(4 results)