2007 Fiscal Year Annual Research Report
高保磁力を有する金属酸化物ナノ磁性微粒子の化学的合成
Project/Area Number |
07J01540
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
桜井 俊介 The University of Tokyo, 大学院・工学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 酸化鉄 / ナノ微粒子 / 磁性材料 / 相転移 |
Research Abstract |
本研究では、室温で酸化物最大の保磁力を示すε-Fe2O3に異なる元素を置換することによって、その磁気特性を制御することを目的としている。本年度は、ε酸化鉄ナノロッドのIn置換体ε-lnxFe2-xO3(x=0.12,0.24)の合成に成功した。これらの試料は室温ではフェリ磁性的ふるまいを示すが、149K(x=0.12)あるいは180K(x=0.24)以下で反強磁性に転移した。この材料はフェリ磁性から反強磁性へと転移する最初の焦電性強磁性体である(Adv.Funct.Mater.,17,2278(2007).)。またGa置換体ε酸化鉄ナノ微粒子(ε-GaxFe2-xO3,0.10<X<0.67)の合成に成功した。Ga置換量の増加に伴い、室温における保磁力は減少したが飽和磁化が増加する傾向が観測された。この飽和磁化の増加は、Gaがε-Fe203における4つのFeサイトのうち、4配位サイトを置換していることから説明された。またガリウム置換量に応じて30GHzから150GHzまでの高い周波数領域でミリ波を有効かつ周波数選択的に吸収することを見出した。80GHz以上に共鳴を示す磁性材料はこれが初めての例であり、ミリ波領域での電磁波吸収体などへの応用が期待される。この高周波数における吸収は、高い保磁力を持っこの材料の自然共鳴に起因すると考えられ、無置換ε-Fe203では吸収周波数は200 GHzまでに達することが示唆された(Angew.Chem.Int.Ed.,46,8392(2007).)。
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Research Products
(5 results)