2007 Fiscal Year Annual Research Report
沈み込み帯におけるメタン・水の循環モデルへのヨウ素同位体年代法の応用
Project/Area Number |
07J01541
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Research Institution | Kitami Institute of Technology |
Principal Investigator |
戸丸 仁 Kitami Institute of Technology, 未利用エネルギー研究センター, 特別研究員(PD)
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Keywords | 放射性ヨウ素同位体 / 間隙水 / メタン / ガスハイドレート / 水循環 / オホーツク海 / バイカル湖 / 南海トラフ |
Research Abstract |
ヨウ素は海洋有機物に強く吸着する性質を持ち、その有機物が埋没または沈み込みによって分解する過程で、間隙水中に炭化水素とともに放出されるため、沈み込み帯における油ガス田かん水、温泉水を始め、ガスハイドレート鉱床中の間隙水に濃集する。本研究ではそれらの水試料中(又は堆積物)にごく微量に存在する放射性ヨウ素同位体(129I)量を測定し、有機物の堆積年代を決定し、沈み込み帯におけるメタンや水の移動モデルに年代議論を取り入れることを目的とする。平成19年度はガスハイドレート地域を中心に間隙水の採取、ヨウ素同位体比測定のためのヨウ素濃度の定量を、日本海、オホーツク海、バイカル湖で行った。特に日本海では深海底による海底面の直接観察から、ガスハイドレートが露出していたり、海底面からガスバブルが噴出していたりするところなど、微細な地形変化を考慮した試料採取を行うことができた。また、バイカル湖では比較的低ヨウ素濃度の間隙水が予想されるため、計画立案段階からの準備により、大量に間隙水試料を採取し、ヨウ素同位体比測定に十分な量の試料を確保した。これらの試料は来年度以降、順次アメリカのPurdue Universityで同位体測定を行う予定である。また、沈み込み帯の堆積物中で水の循環を大きく支配していると考えられる、断層活動による循環モデルを具体的に評価するため、南海トラフで行われた地震発生帯掘削調査(NanTroSEIZE)に参加し、巨大分岐断層地域から深部間隙水を採取した。この間隙水試料についてはヨウ素濃度・同位体のほか、酸素・水素同位体組成紐を測定中であり、深部流体の起源についても解明予定である。
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Research Products
(6 results)