2007 Fiscal Year Annual Research Report
第二次立憲政期(1908-1918)オスマン帝国政治史研究
Project/Area Number |
07J01546
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
藤波 伸嘉 The University of Tokyo, 大学院・総合文化研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | オスマン帝国 / 立憲主義 / 国民形成 / ナショナリズム |
Research Abstract |
本年度は、以前のトルコ留学期間中に収集した史料、特に定期刊行物の読み込み、並びに国内研究機関所蔵史料の調査及び収集に専念したが、それと並行した研究活動として以下を挙げることができる。 まず2007年12月に、北海道大学スラブ研究センターの「北海道中央ユーラシア研究会」例会にて「シノド改選問題とオスマンギリシア人の政治構造、1910年」と題する報告を行ない、トルコ留学中に収集した史料を基に、オスマン・ギリシア人内部の政治構造に関する分析を試みた。 2008年1月にはやはりスラブ研究センターの21世紀COE総括シンポジウム「スラブユーラシア学の幕開け」に参加し、とりわけ最終日の国際シンポジウム「ロシアと中束の間のコーカサスとその住人たち-宗教と国家にむけた行動と考慮」では、セッションC「コーカサス空間の構築:想像された『民族国家』」の討論者を務めた。 以上に加え、日本語・英語で論文を執筆し、その内のいくつかが公刊された。その内、「オスマン・アラブ人の『オスマン国民』像:アブデュルハミトゼフラーヴィーの『諸民族の統一』論」「アブデュルハミトゼフラーヴィーと『政治的教養』:オスマン・アラブ知識人の公民論」の二木は一般に流布している「トルコ主義」対「アラブ主義」という末期オスマン帝国における恩想潮流の二項対立的理解に修正を迫り、オスマン帝国の存在が前提される環境での、その内部でのアラブ人の政治思想を内在的に理解しようと試みたものである。""Church Law"and Ottoman Greeks in the Second Constitutional Politics,1910"ではオスマン・ギリシア人のオスマン政界における動向を特に政治学的に分析することを試みた。また「『官報』所収オスマン帝国識会議事録索引:第二次立憲政期第一議会」では、末期オスマン史研究において第一級の史料でありながら必ずしも広く用いられていない帝国議会議事録の『官報』掲載分について索引を作成した。これは基礎的な作業でありながら、日本は勿論のこと、トルコや他の諸国でもなおなされていなかった仕事であり、研究者に広く活用されることを期待している。
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Research Products
(7 results)