2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07J01561
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
吉田 香世子 Kyoto University, 地域研究統合情報センター, 特別研究員(DC2)
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Keywords | ラオス / 地域研究 / 社会変容 / 越境 / コミュニケーション / 文化実践 |
Research Abstract |
今年度は、これまでの現地調査で得られた成果を踏まえ、文献研究の一層の充実を図るとともに、口頭発表や学術論文の執筆に意欲的に取り組んだ。特にラオスにおける仏教の歴史的展開と法制度の変遷について理解を深めたことは、調査地の人々の仏教実践の分析に有益であっただけでなく、地域社会の側から国家や法制度を再検討する視座をもたらした。その成果の一部を『移動と共生が創り出すミクロ・リージョナリズムー東アジア・東南アジア地域研究の融合に向けて』共同研究会(5月)及び『比較移民研究会』(10月)といった外部の研究会で発表し、大きな反響を得た。また、見習僧の移動とネットワークの展開に関する論文を『アジア・アフリカ地域研究』に投稿した。さらに、ラオス語法制度資料の訳出と研究書への寄稿を行ったほか、ラオス仏教の歴史と現状、及び地域社会における仏教実践に関する論考を一般商業出版に執筆する予定である。その一方で、家族や親族を軸とする様々な紐帯の持続と変容に関する研究も大きく進展した。アジアにおける家族・親族をテーマに据えた『中国・四国地区人類学談話会』(7月)では婚姻を契機とする社会関係の構築過程について論じ、『エコヘルス研究会』(2月)では出産と子育てをめぐる地域の現状を報告した。また、移動に伴う家族変容に関する論考を『地域研究』に投稿する準備を進めている。これらの研究は、先行研究の少ないラオスの人々の日常生活に関するデータを供するのみならず、上座仏教徒社会研究や家族研究、そして人々の相互関係に基づく社会や空間の生成と変動に関する研究に寄与するものである。
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Research Products
(7 results)