Research Abstract |
認知面接法は,被害者・目撃者から,出来事に関する多くの正確な情報を引き出す方法であるが,習得の困難さなど課題も多い。そこで,本年度は,面接者のバイアスを最小限にするコンピュータ版認知面接法を作成し,その有効性を調査した。 最初に,面接システムを作成する予備調査を実施した。コンピュータに話しかける行為は,人に話しかける場合と比ベて,独り言のようになりがちで,話しにくさを感じやすい。そのため,面接者作成にあたり,人工物に親密感を増加させるアプローチを採用した。ベビー図式の特徴を含むキャラクターと含まないキャラクターを作成し,印象評定形容詞を使い,キャラクターへの親近感を調査した。調査の結果,ベビー図式を持つキャラクターに親しみを感じることが確認された。 次に,面接システムを作成した。対面コミュニケーションでは,言葉による情報だけでなく非言語的な情報,つまり身振りや表情,頷きがコミュニケーションを円滑にするという。そこで,Apple社QuartzComposer.appを用いて,予備調査で作成したベビー図式のキャラクターに次の動作を組み込んだ(1.一定間隔での瞬き,2.話しかけると,話しの切れ目あたりで頷く,3.顔部品の自然な動き)。そして,面接段階のラポール形成,自由再生,認知面接技法,質問の台本を作成し,被面接者が自分のペースでテキストベースの面接を進めるよう設定した。また,予備実験の内省報告をもとに,実験者不在の状況で,被面接者が一人で面接を進めていけるよう工夫した。 最後に,作成した面接システムと,同じ台本を使った人による面接を比較する実験を行った。被面接者の面接での報告量を比較したところ,作成した面接システムが,人による面接と同程度の情報を引き出していた(詳しい結果は現在分析中)。このことは,コンピュータの面接者であっても,認知面接法の効果を維持したまま実施できる可能性を示唆しているだろう。
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