2009 Fiscal Year Annual Research Report
ブタ卵の受精と発生に及ぼす精子側因子の関与に関する研究
Project/Area Number |
07J01571
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Research Institution | National Institute of Agrobiological Sciences |
Principal Investigator |
中井 美智子 National Institute of Agrobiological Sciences, 生殖機構研究ユニット, 特別研究員(PD)
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Keywords | ブタ / 卵細胞質内精子注入法 / 卵活性化 / 授精 / 胚発生 |
Research Abstract |
ブタでは、卵細胞質内精子注入(intracyto plasmic sperm injection : ICSI)卵と通常の受精卵との間には生理的現象や胚発生能において様々な相違点がある。これが何に由来するかを調べることは受精機構の解明に直結するため、ブタをモデルとした本研究成果は生物学的に大変興味深い知見となり得る。 前年度までに、ICSIに用いる精子に施されていた膜損傷あるいは除去処理が、精子の卵活性化誘起因子;phospholipase C zeta(PLCζ)含有量を減少させ、それが精子の十分な卵活性化誘起能の低下を引き起こしていることを示唆した。今年度は、免疫蛍光染色により、ブタ精子におけるPLCζの局在および膜処理後の動態を観察した。その結果、精子への処理によりPLCζを示す蛍光反応がほぼ認められなくなった。また、ブタ精子のPLCζは赤道領域と尾部領域に存在することが示唆された。しかし、これまでPLCζの尾部における局在はどの動物種でも報告されていないため、尾部のみを用いたWestern blottingと卵子への注入実験により確認を行った。卵子への注入実験では、尾部は前核形成を誘起するほどの活性化誘起能はないが、減数分裂を再開させる活性化能力は有していることが示唆された。また、Western blottingでは、尾部のみでもPLCζのバンドが確認された。以上の結果から、精子尾部におけるPLCζの局在が確認された。 PLCζは、精子への膜損傷あるいは除去処理により失われていることが明らかとなった。また、ブタにおいては、精子頭部だけではなく尾部も卵の活性化誘起に関与していることが初めて示された。
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Research Products
(4 results)