2007 Fiscal Year Annual Research Report
同種の単為生殖系統と両性生殖系統が同所的に進化維持されるためのメカニズムの解明
Project/Area Number |
07J01586
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
安達 鉄矢 (萩森 鉄矢) Hiroshima University, 大学院・生物圏科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | ハモグリミドリヒメコバチ / 単為生殖 / 両性生殖 / 同所的種分化 |
Research Abstract |
ハモグリミドリヒメコバチ(以下:ハモグリミドリ)の両性生殖系統(以下:両性系統)と単為生殖系統(以下:単為系統)のどちらのニッチが広く、遺伝的多様性はどちらが大きいのかを調べるために、本年度は「1.ハモグリミドリの採集」を行った。続いて遺伝的多様性に影響を与えると考えられる「2.両性系統と単為系統での交配」、「3.単為系統の2倍体維持機構」について遺伝子マーカーを用いて調べた。 1.ハモグリミドリの両性系統と単為系統の採集 関東地方・甲信越地方・東海地方・近畿地方・中国地方・九州地方からナモグリバエの寄生蜂を採集した。その多くの地域からハチを得た。採集した個体を未交尾で産卵させ、どちらの系統であるのかを明らかにすると共にRickettsia感染の有無を調べた。その結果、両性系統と単為系統は日本中に広く分布し、一部地域では同所的に発生していることが分かった。また、Rickettsia感染と単為系統は100%相関していた。 2.ハモグリミドリの両性系統と単為系統の交配実験 両性系統に特異的な遺伝子マーカーを作成し、両性系統のオスから単為系統のメスに遺伝子流動があるかを調べた。また単為生殖からも稀にオスが発生するため、そのオスから両性系統のメスに遺伝子流動があるかも調べた。その結果、双方向で遺伝子流動は生じないことが判明した。 3.ハモグリミドリの単為系統の2倍体維持機構 染色体観察とSSRマーカーの分離比を用いて、単為系統の2倍体維持機構について調べた。その結果、異型接合体で対立遺伝子をもつ遺伝子座を見つけ出し、遺伝的多様性は今まで単為生殖を行う種で知られてきたものよりも大きい可能性が示唆された。 今後は採集した個体を用いて、2種ハモグリバエにおいて産卵実験を行い、どちらの系統の増殖率が高いのか、それは遺伝的多様性の違いに起因するものであるかを明らかにしたい。
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Research Products
(2 results)