2007 Fiscal Year Annual Research Report
組合せ最適化におけるマッチング理論とマトロイド理論の融合
Project/Area Number |
07J01587
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
高澤 兼二郎 The University of Tokyo, 大学院・情報理工学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 組合せ最適化 / マッチング / 偶因子 / Kt,t-free t-因子 / ジャンプシステム / 離散凸関数 / 主双対アルゴリズム / 双対整数性 |
Research Abstract |
マッチングとマトロイドに関連する様々な問題に対しては、効率的な最適化法が知られている。また、マトロイドは様々な組合せ的な対象を含む概念であるが、マッチングに関してはその限りではない。本研究は、マッチングとマトロイドを統一的に扱う理論、特に組合せ的アルゴリズムの構築を目標とする。 一つ目の研究成果は、最大重み偶因子問題からの離散凸関数の導出である。偶因子は、マッチングを組合せ的に扱いやすくする一般化であると近年認識されている概念である。また、離散凸関数は、「離散凸解析」というマトロイドを含む様々な組合せ的対象を特に最適化の観点から包括的に扱う枠組において中心的役割を果たす関数である。本研究では偶因子がジャンプシステムというマトロイド的構造を持つこととグラフが奇閉路対称という性質を持つことが必要十分であることを明らかにした。さらにその拡張として、最大重み偶因子が離散凸関数を導出する必要十分条件を示した。本成果は、これまで偶因子問題が効率的に解けるクラスとして提唱されていた奇閉路対称グラフの概念の裏付けを与えるほか、偶因子と離散凸関数という二つの新しい研究分野の橋渡しの役割を果たすものである。 二つ目の成果は、二部グラフにおける最小重みKt,t-free t-因子の組合せ的アルゴリズムの構築である。既存の研究には、マッチングやマトロイド交わり問題と同様に、最大最小定理や交互道を用いた組合せ的アルゴリズム(重みなし)がある。また、枝重みがすべてのKt,t上でvertex-inducedという性質をもつ際には双対整数性を持っ最小重みKt,t-free t-因子問題の線形計画紅綾和表現が示されていた。本研究は、その整数最適解を求める組合せ的アルゴリズムを構築した。本アルゴリズムは加算・減算・大小比較のみからなる完全に組合せ的なアルゴリズムであり、双対整数性の構成的な証明を与える。また、楕円体法と比較して実用的な計算時間を達成する。
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Research Products
(7 results)