2007 Fiscal Year Annual Research Report
大気エアロゾルの雲物理過程を通した地球寒冷化効果に関する数値的研究
Project/Area Number |
07J01611
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
梶野 瑞王 The University of Tokyo, 先端科学技術研究センター, 特別研究員(PD)
|
Keywords | 環境動態解析 / 大気エアロゾルの環境影響分析 / 硫酸エアロゾル / 硝酸エアロゾル / 酸性沈着 / 大気化学 / 半揮発性物質のガスーエアロゾル分配 / 二次酸性化 |
Research Abstract |
[1]数値モデルの改良と、[2]モデルの妥当性評価と環境影響評価への適用、を行った。[1]数値モデルの改良として、気象モデルにWRF-ARW(Weather Research and Forecasting model,Advanced Research WRF core)モデルを導入した、水平風、鉛直風を内挿した際に生じるMass divergenceを解消するアルゴリズム(Mass Conservative Wind Field Model;lshikawa,1991)を適用し、それを10-7[kg/m3/sec]のオーダーまで小さくした。地上濃度に大きく影響する乾性沈着速度に関する新しいモジュールを導入した、現在広く使われているWesely(1989)のモデルは、植生の季節変化を5つのカテゴリー(春、夏、秋、冬、雪面)で分類しているが、実際の植生の状況を反映していない。そこでZhang, et. al.(2003)のモデルを新たに導入し、衛星解析で得られた MODIS/LAI(Leaf Area Index)と、Sunlit/shadeモデル(葉面に日の当たる割合を陽に計算するサブモデル)を用いて、現実的な葉面(地表面)抵抗を考慮したガス乾性沈着速度を導出した。また、本モデルは東アジア領域をカバーしているが、領域外(ヨーロッパ、中央アジア、シベリアなど)からの輸送を反映するために、全球化学輸送モデルGEOS-chemモデル(Park, et. al.,2003)により計算された、月平均の化学環境場を側面・上部境界条件として取り入れた。[2]数値モデルの妥当性評価と環境影響評価への適用として、ABC-EAREX2005集中観測期間中における済州島(Gosan)における詳細な大気質観測データと、上記改良した数値モデル結果を比較して、モデルの妥当性を評価した、検証に使用した観測データは、ガス濃度(NOx,SO2,03,CO),エアロゾル濃度(BC,SO42-,NO3-,NH4+)気象データ(U,V,T,RH)である。妥当性が保証された本数値モデルを用いて、二次酸性化(硫酸が硝酸のガス・エアロゾル分配を変化させることによる硝酸沈着量の変化)を定量的に評価し、Air Poiiution Modelingand its Application XVIII誌に発表、また観測データから二次酸性化現象を抽出して、Journal of Geophysical Research誌に発表した。
|
Research Products
(3 results)