2008 Fiscal Year Annual Research Report
軸糸微小管上におけるダイニン腕の規則的配列機構の解明
Project/Area Number |
07J01643
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
山本 遼介 The University of Tokyo, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 内腕ダイニン / 軽鎖 / クラミドモナス / IC138 / リン酸化制御 |
Research Abstract |
私は軸糸微小管上におけるダイニン腕の規則的配列機構の解明というテーマで研究を行った。 本年度、私は現在まで未同定だった内腕ダイニン軽鎖のひとつを同定する事に成功した。この軽鎖はその分子内にアンキリン様モチーフとコイルドコイルドメインを持つ、内腕ダイニンfの新規軽鎖であった。興味深い事に、軸糸内の内腕ダイニンfの既知の中間鎖IC138の存在量とこの新規軽鎖の軸糸内での存在量は相関があった。この事はこの新規軽鎖とIC138中間鎖が何らかの複合体を軸糸内で形成している事を示唆するものである。IC138中間鎖はリン酸化/脱リン酸化の状態を切り替えることで内腕ダイニンfの活性を不活性化/活性化する事がしられており、この新規軽鎖もこの経路に何らかの関与をしているものと考えられる。 さらに私は今まで単離されていなかったIC138中間鎖のクラミドモナスnull変異体を得ることに成功した。現在までに部分的に削れた、短いIC138中間鎖を発現する株は単離されていたが完全なnull変異体は得られていなかった。私はクラミドモナス・ライブラリーのスクリーニングを行いIC138中間鎖のnull変異株を3株単離し、それらの運動性を調べる実験や上記の新規軽鎖の機能に迫る実験に用いる事ができた。 また私は当研究室で得られた、集光性を示さずその運動性から内腕ダイニンfに異常があると考えられていた新規変異株の原因遺伝子が高度に保存された新規コイルドコイルタンパク質であることを発見した。原因遺伝子である新規コイルドコイルタンパク質は、恐らく内腕ダイニンfのリン酸化/脱リン酸化の状態を切り替える際にkinase/phosphataseの足場として働くタンパク質であると考えられる。 今後はこの新規コイルドコイルタンパク質についてさらに詳細な研究を行う予定である。
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Research Products
(4 results)