2007 Fiscal Year Annual Research Report
金属酸化物クラスターの精密構造制御と無機分子触媒の創製
Project/Area Number |
07J01680
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
吉田 暁弘 The University of Tokyo, 大学院・工学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | ポリオキソメタレート / Baeyer-Villiger酸化 / C-C結合生成反応 |
Research Abstract |
アニオン性金属酸化物クラスターであるポリオキソメタレートは、原子配列が規定された触媒活性点を有する無機分子触媒である。申請者は、γ-Keggin型構造から2個のタングステン原子が欠落しアクア配位子で終端されたタングステン原子を含む二原子欠損型タングストケイ酸[γ-SiW_<10>O_<34>(H_2O)_2]^<4->(1)が、有機溶媒中で二量化することを見出し、プロトン存在下では[{SiW_<10>O_<32>(H_2O)_2}_2(γ-O)_2]^<4->(2)、プロトン非存在下では田(SiW_<10>O_<32>)_2(γ-O)_4]^<7->(3)が得られることを明らかにした。申請者らはこれらの二量体2、3の構造決定を行い、2はS字型、3は閉環型の構造を有する新規クラスター分子であることも明らかにした。S字型構造を有するポリオキソメタレートめ報告例はなく、2は極めて特異なクラスターといえる。 申請者は二量体2、3の反応特性について検討を行い、2、3が骨格構造に基づいた特異な酸-塩基触媒特性を示すことを見出した。特に2は、高難度な酸化反応である過酸化水素水を酸化剤としたBaeyer-Villiger反応に対する極めて有効な触媒となり、Mukiyama aldol反応、Carbonyl-ene反応、Diels-Alder反応、Friedel-Crafts反応などのC-C結合生成反応に対しても活性を示した。 単量体1及び二量体3は上記の酸触媒反応に対して全く活性を示さなかった。 一方、3は構造解析の結果から、クラスター中心部に酸素原子に囲まれた空隙を有することが明らかになり、量子化学計算により空隙の周辺に存在する酸素原子が高い負電荷密度を有することが示唆された。3は活性メチレン化合物からのプロトン引き抜きにより進行するKnoevenagel反応(塩基触媒反応)に対して高い活性を示したことから、プロトンを初めとするカチオンを空隙内に捕捉することが推測された。そこで、種々のカチオンと3との反応を分光学的に追跡したところ、3の空隙とほぼ等しいイオン半径を有するPb^<2+>,Sr^<2+>は3の空隙内に極めて強く捕捉されるのに対し、空隙に対し約0.1Aイオン半径の大きいBa^<2+>は全く捕捉されなかった。 上記のように、申請者は1の二量化により新規構造を有する二種類の二量体の合成に成功し、S字型二量体はBaeyer-Villiger2反〓
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Research Products
(4 results)