2008 Fiscal Year Annual Research Report
診断薬創製を目指したIn vivo蛍光プローブの開発と応用
Project/Area Number |
07J01686
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
清瀬 一貴 The University of Tokyo, 大学院・薬学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 近赤外蛍光 / pHプローブ / 低酸素 / 還元酵素 / HIF-1 / Carbonic anhydrase IX |
Research Abstract |
当初の計画通り、近赤外pHプローブをより実用的なものとするべく、これまで合成してきた化合物をナノビーズに結合させたプローブを開発した。シアニン骨格自体はそれほど安定性は高くないが、ビーズに結合させたプローブは、常温下に一か月ほど放置してもその色調に変化はなく、非常に安定性の高い事が示された。このプローブはin vitroにおいて非常によく機能した。 pHプローブ開発の過程で、私は消化器官のpH変化以外に、本プローブを用いて腫瘍組織におけるpHの変化を検出できるのではないかと考えた。固形腫瘍は、その発生部位に関係なくそその多くが低酸素環境に曝されている事が知られている。低酸素環境において細胞は生存戦略として、HIF-1というタンパク質を安定化させ、生存に必要な様々なタンパク質の発現を活性化させている。その一つがCarbonic anhydrase IXである。この酵素は炭酸脱水酵素と呼ばれているが、その触媒の過程でプロトンを発生させ、細胞に酸性化に寄与するとされている。 さらに私は酸素濃度が低下した環境でのみ反応が進行する、酵素による還元反応に着目した。酸素濃度を検出する試薬はいくつか報告があったが、蛍光を用いるものは皆無に近かった。私はまず可視光領域において機能するプローブの開発に取り組んだ。具体的にはプローブを低酸素環境における酵素による還元反応を認識する部位と、蛍光団部位に分けて考え、この還元反応を認識する部位を適切に選択することで蛍光特性の変化を起こすことを考えた。具体的には、ニトロ芳香族化合物やアゾ色素を反応部位とし、色素はTokyo Greenやフルオレセイン、イミノクマリンなどを選択した。開発した何れもが還元酵素存在下、低酸素環境選択的に還元反応を受け、その蛍光特性が大きく変化した。
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Research Products
(6 results)