2008 Fiscal Year Annual Research Report
腫瘍由来の癌抑制タンパク質p53変異体に対する四量体安定化剤の開発とその機構解明
Project/Area Number |
07J01703
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
野村 尚生 Hokkaido University, 大学院・理学院, 特別研究員(DC1)
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Keywords | Tumor Suppressor Protein p53 / Tetramerization / Stabilizer / Phage Display Library / Mutation / Avidin-Biotin interaction / Molecular Evolution / Hydrophobic Interaction |
Research Abstract |
癌抑制タンパク質p53は393アミノ酸残基からなる転写因子で、外部からの放射線や紫外線などの遺伝毒性ストレスに応答して、細胞周期の停止やアポトーシスを誘導する。p53機能発現には四量体形成が必須である。p53の変異はヒト悪性腫瘍で最も多く認められる異常であり、四量体形成ドメイン(TD,31残基)の変異のほとんどは四量体構造の不安定化を引き起こしている。そこで本研究では、四量体構造の安定化による変異型p53タンパク質の機能回復を目指し、変異型四量体構造の安定剤の開発とその安定化機構の解明を目指す。 前年度に同定したPhage Libraryから得られた複数のp53四量体構造安定化配列から二種類の特徴的なより短い配列(HHR、RPS)を見いだした。Phage Libraryの特徴から単量体および二量体HHRペプチドを化学合成し、二種類の変異体p53四量体(L330H、K351N)の相互作用を確認した。K351N変異体に対しては二量体HHRペプチドが相互作用および四量体構造の安定化を示し、L330H変異体には単量体HHRペプチドが四量体構造の安定化を示した。変異体に応じて単量体と二量体HHRペプチドでの相互作用に変化があり、変異による四量体表面構造の小さな変化が単量体および二量体HHRペプチドの与えるp53四量体安定化効果に影響を及ぼしたと考えられる。 また、様々な生物種由来のp53の相同性解析を行った。配列の変化が四量体構造に与える影響を解析するため、13種のp53TDペプチドを化学合成し、その安定性を解析した。四量体安定性は進化に応じて増加する傾向を示し、また四量体構造の安定化における新たな疎水性相互作用の知見を得られた。
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Research Products
(8 results)