2009 Fiscal Year Annual Research Report
腫瘍由来の癌抑制タンパク質p53変異体に対する四量体安定化剤の開発とその機構解明
Project/Area Number |
07J01703
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
野村 尚生 Hokkaido University, 大学院・理学院, 特別研究員(DC1)
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Keywords | Tumor Suppressor Protein p53 / Tetramerization / Stabilization / Mutation / Polyol compound / Trehalose / Hdrophobic Interaction / Cyclohexylalanine |
Research Abstract |
癌抑制タンパク質p53は393アミノ酸残基からなる転写因子で、外部からの放射線や紫外線などの遺伝毒性ストレスに応答して、細胞周期の停止やアポトーシスを誘導する。p53機能発現には四量体形成が必須である。p53の変異はヒト悪性腫瘍で最も多く認められる異常であり、四量体形成ドメイン(TD,31残基)の変異のほとんどは四量体構造の不安定化を引き起こしている。そこで本研究では、四量体構造の安定化による変異型p53タンパク質の機能回復を目指し、変異型四量体構造の安定剤の開発とその安定化機構の解明を目指す。 ポリオール化合物によるp53四量体構造の安定化を解析した。野生型および不安定化機構の異なる変異体ペプチド(L330H、R337H、E349D)を用いて、グリセロール、トレハロースによる四量体構造の安定化効果をCDスペクトル測定により解析した。グリセロールでは、安定性の最も低いL330Hを大きく安定化させることが可能であったのに対し、トレハロースでは四種類全ての四量体形成ドメインペプチドを大きく安定化させることが判明した。また、L330Hペプチドに対するエチレングリコール、グルコース、マルトースの四量体安定化効果を同様に解析した。これらのポリオール化合物の安定化効果を比較したところ、体積および一分子における水酸基の数に依存して安定化を促すことが示唆され、現在までに提唱されている排除体積効果による構造への影響のみならず、ポリオール化合物の多価水酸基によるタンパク質構造との相互作用が示唆された。
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Research Products
(6 results)