2007 Fiscal Year Annual Research Report
受容体間ヘテロ多量体形成:大腸菌でのランダム変異と共鳴エネルギー転移の応用
Project/Area Number |
07J01716
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Research Institution | Gakushuin University |
Principal Investigator |
鈴木 登紀子 Gakushuin University, 理学部, 特別研究員(PD)
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Keywords | GPCR / A1アデノシン受容体 / ダイマーインターフェイス / 膜貫通領域 / site-directed mutagenesis / TM4 Trp / 分子モデリング |
Research Abstract |
GPCRの二量体化については近年広く報告されているが、その分子メカニズム解明に不可欠な、ダイマー形成インターフェイスの特定は未だ研究途上である。結晶構造が明らかになっているロドプシンと、A_3アデノシン受容体では、TM(膜貫通領域)4とTM5がダイマーインターフェイスであるという、モデルが提唱されている。本研究では、アデノシン受容体のサブタイプの一つであるA_1受容体でも、TM4と5がダイマー化に関わっている可能性があると考え、変異体の作製によりその解明を試みた。 ロドプシンの結晶構造と、A_1受容体との相同性から、TM4とTM5の4ケ所の残基がダイマーインターフェイスであると予想し、それら4残基全てをAlaに置換した変異体を作製した。しかし、免疫沈降により、変異体のダイマー形成率は、野生型に比べて減少しないことが明らかになった。ただし、リガンド結合に関しては、アゴニスト・アンタゴニスト結合とも、ほとんど見られなくなった。4残基を一つずつ変異させた変異体を作製した結果、リガンド結合に重要なのは、TM4で最も保存性の高い、Trp132であることが明らかになった。共焦点顕微鏡観察により、このリガンド結合の消失は、膜移行の欠陥によるものではないことがわかった。分子モデリングにより、Trp132は、リガンドに近いTM3とTM5の4つの残基と近接しており、互いに直接結合している可能性が示唆された。Trp132をAlaに置換させると、それらの残基との距離が長くなり、結合できなくなると考えられる。つまり、Trp132は、リガンド結合部位のあるTM3とTM5を支える役割があり、変異させるとTM3とTM5の位置がゆらぎ、リガンド結合が妨げられたものと考えられた。本研究により、TM4の保存性の高いTrpとリガンド結合の関係性が分子メカニズムとして初めて示された。
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Research Products
(2 results)