2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07J01717
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
和田 拓 Tokyo Institute of Technology, 大学院・理工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 有機トランジスタ(OFET) / n型有機半導体 / 大気安定性 / ポテンシャルシフト / DMDCNQI |
Research Abstract |
有機トランジスタ(OFET)の動作においては、有機半導体と金属電極の界面におけるキャリア注入障壁がそのパフォーマンスを大きく下げることが知られているが、その界面における具体的な評価に関しては報告例が少なく、本研究ではDMDCNQI(2.5-dimethyldicianoquinonediimine)を活性層材料として用いると同時に、各種電極材料を用いることで電極界面のパフォーマンスに与る影響について考察を行った。 DMDCNQI薄膜は金、銀、銅、そして有機電極である(TTF)(TCNQ)電極に対しn型のトランジスタ特性を示し、そのキャリア移動度は金電極では0.011cm^2/Vsとn型としては高い値を示した。それに対し一番良いエネルギーマッチングを示す銅電極おいては金よりも二桁近い低いキャリア移動度を示した。 これらの結果は金属/有機物界面で起こるポテンシャルシフトによって説明される。これは金表面上のAlq3においてはその界面においてキャリア注入障壁を減らす方向にエネルギーシフトが動き、また銀および銅表面上では逆の方向にエネルギーシフトが働くということが報告されている。このようなポテンシャルシフトがDMDCNQIとの界面においても起きているとすると得られたパフォーマンスも説明され、さらにキャリア移動度が仕事関数のエクスポネンシャルに比例するという報告と合わせて考えると(TTF)(TCNQ)電極ではポテンシャルシフト量はほぼ0であり、これは有機/有機界面ではポテンシャルシフトは起こらないという事実と良く一致する。 また一般的にn型のOFETは大気に対して不安定であることら、DMDCNQIトランジスタにおいても空気に対する安定性の評価を行ったところ、金電極では大気暴露による移動度および閾値電圧の変化はほとんど見られなかったのに対し、銀及び銅電極ではそれらの値が一度減少した後、再び大きくなるという特徴的な挙動を示した。これらの結果から大気暴露に対する安定性はこれまで考えられていた活性層材料の化学的性質以上にその電極との界面状態に強く依存することがわかった。
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Research Products
(6 results)
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[Journal Article] Crystal structures and transistor properties of phenyl-substituted tetrathiafulvalene derivatives2007
Author(s)
B. Noda, H. Wada, K. Shibata, T. Yoshino, M. Katsuhara, I Aoyagi, T. Mori, T. Taguchi, T. Kambayashi, K. Ishikawa, H. Takezoe
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Journal Title
Nanotechnology 18
Pages: 424009
Peer Reviewed
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