2007 Fiscal Year Annual Research Report
宇宙線生成核種を用いた風化土層の発達速度と流域の侵食速度の定量
Project/Area Number |
07J01748
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
松四 雄騎 The University of Tokyo, 大学院・工学系研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 宇宙線生成核種 / 削剥速度 / 風化土層 / 花崗岩 / 加速器質量分析 / 地形発達 |
Research Abstract |
温暖湿潤帯において山地斜面を被覆している風化土層の形成速度を規定する要因として、基盤岩石の力学的な強度低下を考え、斜面内部の強度プロファイルを予測する理論的モデルを構築した。また、その検証方法として岩石中の宇宙線生成核種を用いた手法を提案し、これらをまとめた論文を執筆・投稿し、受理された。 上記の理論を検証し、研究計画を実行するフィールドとして、日本各地のいくつかの山地を研究対象として選定した。今年度は、北海道士別市、山形県南陽市、北上山地、阿武隈山地、北・中央アルプス、山梨県瑞牆山、兵庫県六甲山、山口県宇部市などにおいてフィールドワークを行い、宇宙線生成核種定量のための試料を採取した。現在までに採取した試料は、流域出口の河床堆積物を中心に合計約80点程度である。 山口県宇部市の試料について、化学処理を行い、加速器質量分析によって宇宙線生成核種の定量を行った。その結果、上流域の侵食速度として、20-30mmkyr-1の値を得た。これは、隆起の活発な地域(例えば日本アルプスなど)において従来推定されている侵食速度よりも2オーダー小さく、対象とした流域(中国山地の西端)では比較的緩やかな地形変化が起こっていることを示唆するものであった。 来年度以降の更なる試料採取地域の拡充(山形県朝日岳、中国山地、滋賀県田上山地など)や、斜面ボーリングを利用した土層-基盤境界を含むコア試料の採取について、現在検討を行っている。
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Research Products
(4 results)