2007 Fiscal Year Annual Research Report
X線光電子放出顕微鏡を利用した電荷移動錯体光誘起生成物による実用素子化研究
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07J01749
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
宮本 剛志 Hokkaido University, 大学院・工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 分子性導体 / 電荷移動錯体 / 光電子放出顕微鏡 / PEEM / DCNQI / リソグラフィー / 有機デバイス |
Research Abstract |
本研究は、本研究は、電荷移動錯体Ag(DMe-DCNQI)_2(以下Ag(DM)_2)単独物質で形成されたデバイスのモデルとなる回路を、X線光電子放出顕微鏡(EXPEEM)を用いた新しい回路描画方法であるDynamic Drawingで作製する事を目的としている。本年度は、1、Ag(DM)_2の伝導性がUVによって変化するメカニズムを速報紙として報告した 2、In-lab.EXPEEMの最適化を行って感度を約100倍向上させた 3、本物質からなる薄膜を作製した、以上3点を行った。1について、Ag(DM)_2の電気伝導変化のメカニズムは、類似の塩とは異なり、結晶の部分的な構造の乱れや構造のアモルファス化に起因することを示した。このような特異な伝導変化メカニズムは新しい知見であり、デバイス応用の際にも参考となる情報である。2に関して、Dynamic DrawingにはX線により放出されるフェルミレベル近傍の光電子を用いる。これまで、この光電子の強度は1秒間で数から十数カウントと大変弱く、Dynamic Drawingの際に不利であった。そこで、EXPEEMの最適化を行った。その結果、これまでの光電子強度より100倍程度の感度向上に成功し、実験室系でWienフィルターを用いたEXPEEMでの最高感度を得た。この成果は、Dynamic Drawingを行うために必要な光電子強度を確保する上で意義深い結果である。3に関して、DM分子の蒸着をK-cellとよばれるるつぼを使用した蒸着方法を用いて試みた。しかし、セルを過度に加熱するとDM分子が変性し、2度と昇華しなくなることが分かった。従って、変性する閾温度を超えないように維持するための冷却機構が必要であった。私は、セルに冷却機構を組み入れた新しい蒸着装置を設計し、自作した。この改良したセルにより、安定した薄膜作製に成功した。
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Research Products
(10 results)