2008 Fiscal Year Annual Research Report
X線光電子放出顕微鏡を利用した電荷移動錯体光誘起生成物による実用素子化研究
Project/Area Number |
07J01749
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
宮本 剛志 Hokkaido University, 大学院・工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 分子性導体 / PEEM / 電荷移動錯体 / 光電子放出顕微鏡 / DCNQI |
Research Abstract |
1.本年度は、電荷移動錯体Ag(DMe-DCNQI)2の電気伝導性の変化が発現する理由をより詳細に詰めるため、XAFSによる分析を行った。様々なAg化合物のL3edgeXANESスペクトルのピーク強度をAg(DMe-DCNQI)2と比較した。その結果、AgのXANESスペクトルのピーク強度が価数だけでなく、Ag周りの対称性や配位子と結合の強さと相関があることを見出した。これを元にして、Ag(DMe-DCNQI)2の局所状態解析を行った。 2.AgのKedgeEXAFSスペクトルを解析して、Ag(DMe-DCNQI)2の伝導変化発現理由を検討し、AgまわりのDMe-DCNQI分子に非対称成分が含まれ、DMe-DCNQI分子が作る伝導カラムの構造が乱れるために伝導性に活性化エネルギーが必要となるという新しいメカニズムを見出した。 3.前年度に高感度化を達成したEXPEEM顕微鏡を使って、Ag(DMe-DCNQI)2薄膜観察の予備実験として、脱硫触媒のNi2P表面を観察した。その結果は、脱硫触媒メカニズムを考えるうえで重要なものであるため、学会発表を行ったところ、その内容に対して、奨励賞等の表彰を受けた。その結果とは、(1).(0001)表面は、予想される2つの終端面が室温で共存している。(2).反応温度付近では、一方の表面終端方法のみをとる。(3).チオフェンや水素などの吸着能が相当低く、対被毒性が高い。というものである。 以上の成果を踏まえて、3年目の研究を展開する。
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Research Products
(7 results)