2009 Fiscal Year Annual Research Report
X線光電子放出顕微鏡を利用した電荷移動錯体光誘起生成物による実用素子化研究
Project/Area Number |
07J01749
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
宮本 剛志 Hokkaido University, 大学院・工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 分子性導体 / 電荷移動錯体 / 光電子放出顕微鏡 / PEEM / DCNQI / リソグラフィー / 有機デバイス |
Research Abstract |
本年度は、電荷移動錯体Ag(DMe-DCNQI)2の電気伝導性の変化が発現する仕組みについて論文にまとめて報告した。半導体化したAg(DMe-DCNQI)2のEXAFSスペクトルの分析を詳細に行った結果、結晶の一部にUV照射によって生成した新しい結晶相が生じていることが分かった。この新しい構造は、AgとDMe-DCNQI分子との配位関係が異なっており、両者の結合距離が0.1オングストローム短くなっていることが分かった。ただし、この新しい結晶相は結晶全体の18%であり、結晶の全体としての構造は劇的な変化が生じていないことが判明した。しかしながら、この18%の新しい結晶相によって、電気伝導が金属から半導体へ変化するメカニズムを新しく提案することに成功し、論文に掲載された。一方で、前年度に引き続いて脱硫触媒のNi2P表面の観察にも取り組んだ。これは、高感度化を達成したEXPEEM顕微鏡を用いて観察可能になった触媒表面である。前年度に興味深い触媒挙動が観察されたので、もう少し詳細に反応物と表面の相互作用を調べた。昇温脱離という手法を用いて水素とNi2P(0001)表面の脱離エネルギーや付着確率を調べた。その結果、この表面は水素の解離吸着能がない表面であることが新たに判明し、硫化水素やその他の硫黄化合物とも親和性が低いことが判明した。硫黄化合物の吸着量から判断して、解離吸着した硫黄は表面の欠陥にのみ吸着すると考えられ、表面の欠陥が触媒反応に重要な役割を果たしていることが示唆された。
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Research Products
(3 results)