2008 Fiscal Year Annual Research Report
抗肥満を目指した脂肪細胞分化・脂肪滴形成の分子機構解析
Project/Area Number |
07J01755
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
高橋 裕 The University of Tokyo, 大学院・農学生命科学研究科, 特別研究員(DC1)
|
Keywords | 脂肪細胞 / 分化 / 中性脂質 / 分子生物学 / 肥満 / 転写因子 / 脂肪滴 / 3T3-L1 |
Research Abstract |
高齢化や食の欧米化が進む現代社会において、生活習慣病の頂点に位置する肥満症が今後増加することは確実となっており、生活習慣病の予防のため、肥満に直結する脂肪細胞分化の分子機構およびその制御機構の解明は非常に重要な課題である。本年度、研究代表者は、脂肪細胞分化過程におけるapoC-IIIの発現誘導調節機構をテーマとして、その解析を試みた。昨年度までの研究により、apoC-IIIのmRNA発現量は、3T3-L1細胞の脂肪細胞分化過程において分化前の発現量に比べ約800倍近く誘導され、さらにその誘導はRXR(retinoid X receptor)アゴニスト処理によって増強されることが明らかになっていた。本年度では、マウス胚性幹細胞および初代前駆脂肪細胞の脂肪細胞分化過程においてもapoC-IIIのmRNA発現量が誘導され、その発現量はRXRアゴニスト処理によってさらに増加することを明らかにした。続いて、マウスapoC-IIIプロモーターを組み込んだレポーターベクターを作製し、脂肪細胞分化に関わると報告のある様々な転写因子を3T3-L1細胞に強制発現させ、apoC-IIIプロモーターが応答するかどうかを検討した。その結果、apoC-IIIプロモーターの活性はRXRαの強制発現およびそのリガンドを処理したときのみ応答することが判明した。さらにRXRαのタンパク質発現量は脂肪細胞分化に伴い亢進することが示され、ChIPアッセイの結果から、3T3-L1脂肪細胞においてapoC-IIIプロモーターには内因性のRXRαが結合することが明らかとなった。一方、3T3-L1細胞においてapoC-IIIを強制発現、もしくは内因性の発現を抑制しても脂肪細胞分化や細胞内に蓄積される中性脂質量に変化は認められず、apoC-IIIが脂肪細胞でどのような機能を果たしているかは今後の研究課題である。
|
Research Products
(4 results)