2007 Fiscal Year Annual Research Report
聖地エルサレムとパレスチナ社会-現地調査と言説分析による政治学的研究
Project/Area Number |
07J01780
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
飛奈 裕美 Kyoto University, 大学院・アジア・アフリカ地域研究研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | エルサレム / パレスチナ社会 / 占領 / 抵抗 / 中東地域研究 |
Research Abstract |
平成19年度は、占領下エルサレムのパレスチナ社会について以下の研究を行い、成果を出した。 1.前年度のエルサレムでの現地調査中に行ったエルサレム旧市街の商店街でのインタビュー調査、パレスチナ側・イスラエル側双方から入手した資料をもとに、エルサレムのパレスチナ社会が抱える占領下の諸問題を明らかにした。その成果を、論文「エルサレム旧市街のパレスチナ社会における占領下の諸問題と抵抗-商店街の事例から」で『アジア・アフリカ地域研究』2007年第7-2号上にて発表した。 2.2007年8月26日〜11月26日にエルサレムで現地調査を行った。イスラエルの法・行政制度の調査を行い、1.の論文で発表した占領下エルサレムのパレズチナ社会が抱える諸問題が引き起こされるメカニズムを明らかにした。この現地調査の成果をもとに、2008年1月18日に早稲田大学で行われた第31回イスラム人口研究懇親会で、「東エルサレムにおける住居をめぐるポリティクスとパレスチナ人による『住み続ける』ための活動」と題して口頭発表を行った。 3.1967年の第三次中東戦争以降、イスラエルがエルサレムで進めてきたユダヤ化政策の一端を明らかにした研究書Simone Ricca,2007.Reinventing Jerusalem:Israel's Reconstruction of the Jewish Quarter after 1967.London,New York:I.B.Tauris.viii+258pp.をエルサレム研究史に位置づけ、その書評を『イスラーム地域研究』2007年第1-2号にて発表した。 4.2008年2月4日〜4月4日に再度、エルサレムで現地調査を行った。パレスチナ側・イスラエル側の人権団体、弁護士、国際弁護士へのインタビューを行い、前回の現地調査で明らかにしたイスラエルの法・行政制度によって引き起こされるエルサレムのパレスチナ社会の問題のケーススタディを集めた。この現地調査の成果は、2008年5月24〜25日に千葉大学で行われる第24回日本中東学会年次大会にて研究報告を行う予定である。
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