2007 Fiscal Year Annual Research Report
脊椎動物における時計蛋白質の多段階リン酸化機構の解明
Project/Area Number |
07J01786
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
倉林 伸博 The University of Tokyo, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | サーカディアンリズム / 概日時計 / CRY2 / E4BP4 / リン酸化 / タンパク質分解 / プロテアソーム / 変異マウス |
Research Abstract |
概日時計機能は地球上のほぼ全ての生物に内在し、多様な生理現象にみられる概日リズムを制御している。時計遺伝子の転写と翻訳を基本骨格とした概日時計の分子発振は、約24時間という非常に長くて安定した周期をもち、この周期の調節には時計蛋白質のリン酸化が重要な役割を果たす。当研究室では、時計蛋白質のCRY2とE4BP4が複数のキナーゼによって段階的にリン酸化され、その結果、分解へと導かれることを示してきた。本研究では、この多段階リン酸化の引き金をひく「プライミングキナーゼ」の実体を明らかにし、時計蛋白質の制御メカニズムに迫ることを目標としている。 当研究室の先行研究により、MAPKはCRY2Ser557をin vitroでリン酸化する事が示された。しかし、培養細胞におけるMAPKの強制発現や不活性化はCRY2 Ser557のリン酸化レベルに影響を及ぼさないため、生体内ではMAPK以外のキナーゼがSer557をリン酸化していると考えられた。そこで、CRY2のSer557をリン酸化するプライミングキナーゼを探索するため、Ser557リン酸化活性を定量的に解析できるin vitroキナーゼアッセイ系を構築した。マウス肝臓の懸濁液をDEAEカラムクロマトグラフィーによって分画し、各画分の活性を検出した。その結果、Ser557リン酸化活性が複数ピークに分離することが判明した。活性化型MAPKを含まないピークに注目して実験を進め、様々なキナーゼ阻害剤を用いた解析の結果、一つの候補分子を同定した。 さらに、CRY2のSer557リン酸化という分子レベルの現象が個体レベルの行動リズムにどう反映しているかを調べるため、S557A変異を導入したCry2遺伝子ノックインマウスを作製した(理研CDBとの共同研究)。今後は野生型マウスとのバッククロスを重ね、遺伝的背景を均一にした動物を用いて実験を行う予定である。
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Research Products
(5 results)