2009 Fiscal Year Annual Research Report
蛋白質の折り畳みに基づいたHIV等の疾病に用いる電子工学的センサーの開発
Project/Area Number |
07J01794
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
鵜澤 尊規 Hokkaido University, 大学院・理学研究院, 特別研究員(SPD)
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Keywords | センサー / 電気化学測定 / HIV / 国際研究者交流 / 抗原・抗体反応 |
Research Abstract |
前年度の結果(J.Am.Chem.Soc.誌に投稿中)から、電極表面付近に分布する酸化還元ラベルの割合を抗体の添加に伴って変化させることで、抗体のセンサーが作製できることが示唆された。そこで、酸化還元ラベル化した17塩基の線状DNAを金電極に修飾し、その後にエピトープペプチドが修飾された相補DNAを混合しセンサーとした。2本鎖DNAの柔軟性とシグナル変化の相関が予想されたので、2本鎖DNAに様々な変異を入れた系を用意し、酸化還元ラベルと金電極間の電子移動速度および抗体添加時のファラデー電流の変化率を調べた。具体的には、完全な相補配列をもつPM、2本鎖DNAの中央に1つ変異を入れた1MM、2つ変異を入れた2MM、電極側の5つに変異を入れた5MM5'、酸化還元ラベル側に5つの変異を入れた5MM3'の計5種類の酸化還元ラベル化DNAを用意して用いた。予想通り、非常に剛直なPMと1MMおよび酸化還元ラベルの分布の変化が起きにくい5MM3'に比べて、柔軟な2MMと5MM5'は、抗体の添加前後に電子移動速度に大きな変化が観測された。HIV抗体添加時の電流の変化率は、2MMは103±10%(コントロール9±2%)、5MM5'は142±40%(コントロール2±1%)となり、HIV抗体センサーの作成に成功した。 上で用いた方法が他の抗体に対しても適用可能かを、ステロイドの一種であるDigoxigeninを相補DNAに修飾して、先の酸化還元ラベル化DNA(5MM5')と2本鎖を形成させHIVセンサーとの交換反応を調べた。その結果、Digoxigeninラベル化相補DNAの系は、Digoxigenin抗体に反応し(260±77%)、HIV抗体には反応しなかった(4±2%)。逆に、エピトープペプチドラベル化相補DNAの系は、Digoxigenin抗体には反応せず(6±1%)、HIV抗体にのみ反応した(196±4%)。本研究で開発したセンサーはこのような汎用性の高さに加えて、数分以内に抗体の有無が確認でき、かつコスト的に有利となる高い再生能を持っていることから、今後の発展が期待されるセンサーであると考える。この結果の一部については2010年1月にGordon conferenceで発表し、全てのデータを含めた論文について現在投稿準備中である。
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Research Products
(7 results)