2007 Fiscal Year Annual Research Report
現代イラクにおけるイスラームと政治:シーア派宗教界と政党の動態的関係
Project/Area Number |
07J01823
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
山尾 大 Kyoto University, アジア・アフリカ地域研究研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | イラク政治 / シーア派 / イスラーム主義政党 / 中東 / 中東政治 / ダアワ党 |
Research Abstract |
本研究の目的は、現代イラクにおけるイスラームと政治の動態を、シーア派宗教界とシーア派イスラーム主義政党の関係性とその変化に着目して分析することにある。本19年度は、アラビア語の原典資料、イスラーム主義政党が発行するパンフレットやリーフレット、機関紙などを収集し、彼らのイデオロギーが歴史的にどのような変容を遂げたのかを分析することに力点をおいた。 その結果、1950年代から1980年までのイラク・イスラーム運動の「初期」に当たるイスラーム主義政党とシーア派宗教界の関係の変化、およびイデオロギー的な側面を分析して論文にまとめるとともに、国内では中東学会の年次大会で報告を行い、国外では現代イラク研究国際学会で報告を行い、分析を深めることができた。 また、1980年以降のイラク・イスラーム主義政党の分析に関しては、政党のパンフレットや機関紙の収集、分析を行った。その成果の一部は、英語論文にまとめ、また国外の学会で報告を行なった。この分野は我が国のみならず、世界的にも研究が未着手であり、今後の継続的な分析によって、これまでほとんど明らかになっていなかったイラク・イスラーム政党の歴史的な展開が明らかになることが期待される。 加えて、2003年のイラク戦争後に本研究の対象とするイスラーム主義政党がイラクの政権の中核に躍進を遂げたことを受け、イラク戦争後のイスラーム主義政党とシーア派宗教界の選挙や戦後政治プロセスをめぐる関係の変化を分析し、論文にまとめることができた。
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