2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07J01832
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
下山田 篤史 The University of Tokyo, 新領域創成科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 重い電子系 / 角度分解光電子分光 / 遷移金属酸化物 |
Research Abstract |
層状ペロスカイト遷移金属酸化物Ca^2-xSrxRuO4(x=0.2-0.3)において、重い電子的振る舞いが報告されており、電子比熱係数、帯磁率、電気抵抗の振る舞いほLiV204の結果と類似していた。擬2次元物質Ca2-xSrxRuO4(x=0.2-0.3)の単結晶は劈開性を持つために角度分解光電子分光(ARPES)を行うことができた。その結果、Ca2-xSrxRuO4(x=0.2-0.3)のバンド分散、フェルミ面を明らかにすることができた。ある波数空間の(0,0)-(π,π)方向では、傾きの3つのバンド分散が観測さた。一方で、別の波数空間(0,0)-(π,0)方向においては、(π,0)近傍において傾きの小さなバンド分散が観測された(π,0)近傍の平坦なバンドはT*=20K以下で急速に成長し、電子比熱係数、帯磁率、電気抵抗というた基礎物性実験で報告されている了T*以下での準粒子の有効質量の増大と対応することを明らかにできた。このようなd電子糸での(π,0)近傍の部分波数空間での大きな質量増大は、全ての波数空間で重い電子が形成されるf電子系近藤物質群とは異なることから、物質の電子相関の影響を考える際には、バンド構造を考慮しなければならないことが示唆さたた。実際に、Ca2-xSrxRuO4(x=0.2-0.3)のバンド計算において,(π,0)近傍に平坦なバンドが存在することから、その平坦なバンドが局在的に振舞うことで、重いとして振舞うと考えられる。一連のPES,ARPES実験結果から、d電子の局在、遍歴性という問題に取り組み、d電子重い電子系とf電子重い電子系の類似点、相違点を明らかにることで、f電子系とd電子系という強相関電子系の質量増大についての新たな知見が得られた。
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Research Products
(4 results)