2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07J01851
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
神 紘一郎 The University of Tokyo, 大学院・工学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | ペプチド薬剤 / ジ置換アミノ酸 / 無細胞翻訳系 / フレキシザイム / 人工アミノ酸の部位特異的変異導入 |
Research Abstract |
[背景]天然に存在するタンパク質はα-L-アミノ酸から構成され、ヘリックスやシートといった二次構造が基本として複雑な三次または四次構造を形成し、多様な機能を持つようになる。一方、タンパク質よりも小さなサイズのオリゴペプチドが形成する二次構造は生理的条件下においては大きく揺らいでいるため、オリゴペプチドは生理的機能を発現する分子にはなりにくく、創薬研究で良好な結果がない。そこでa位の水素をアルキル基によって置換し。α,α-ジ置換アミノ酸を用いて新規機能性分子を創製する試みがされている。ジ置換アミノ酸はa位炭素における分子自由回転を抑え、2次構造をとりやすくする(例えば、α-ヘリックス、310ヘリックス、C5プラナーなど)。ペプチドの医薬品としての応用を考えたとき、その欠点である、1)膜透過性、2)プロテアーゼ耐性の向上に資する可能性も秘めている。 [実験および結果]本研究においては、以下に示したようなa,a-ジ置換アミノ酸、天然に見られるAib、アキラルなもの、アルキニル基やアリル基を有するAibの誘導体を用いた。一般的有機合成によってこのアミノ酸のカルボキシル基を活性化させリボザイムによるアミノアシル化を行った。ジ置換アミノ酸の導入はモデルペプチド(MKKKTflag)を翻訳合成することで検証した。14C-アスパラギン酸によりペプチドへの放射性同位元素ラベル、およびペプチドの精製のため、エピトープタグであるflag配列をそのC末端に用意した。スレオニンコドンにジ置換アミノ酸を割り当て導入した。翻訳産物をTricine SDS PAGEとMALDI-TOF-MASによりその発現量および分子量を解析した。その結果、1)ワイルドタイプの30~60%程度でリボソームに導入されること、2)ペプチドの分子量も目的のものが見られたこと、3)a,a-ジ置換アミノ酸が、フレキシザイム、翻訳系両方に対して使用可能であることがわかった。 [結論と展望]本研究の結果から、ヘリックス性を有するa,a-ジ置換アミノ酸含有ペプチドを翻訳系において合成することが可能であることが実証された。これによりヘリックス指向なペプチドライブラリーの構築が実現でき、a-L-アミノ酸にはない新たな構造、機能を有する人工ペプチドの創製に繋がる技術になると考えられる。
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Research Products
(1 results)