2007 Fiscal Year Annual Research Report
面内配向六方晶系薄膜の創製および横波モード共振子型分子間相互作用センサへの応用
Project/Area Number |
07J01857
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
柳谷 隆彦 Tohoku University, 大学院・工学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 圧電薄膜 / イオンビームアシスト成膜 / (11-20)配向ZnO薄膜 |
Research Abstract |
イオンビームを照射しながら多結晶膜を成長させた場合、ビームのエネルギーや照射角度により配向方向を三次元的に制御できることが知られている。特にこの技術は、配向制御が重要なYBCO/YSZなどの超伝導膜の分野において成功を収めてきた。しかし圧電膜の分野では、このような技術による配向制御はほとんど行われていない。多結晶膜は、原子が密に詰まった面が基板面と平行になるように優先配向する性質がある。これに対して、イオンビームを照射しながら膜を成長させた場合、ビームに対して原子が密に詰まった面を向いた結晶粒は、イオンの衝突による損傷を受けて成長が阻害される。逆に原子が詰まっていない面を持つ結晶粒ではイオンの衝突よる損傷を受けにくいため、優先的に成長することが知られている。例えば面心立方格子構造の膜は通常、原子が密な(111)面の優先配向を持つのに対して、イオン照射下では原子が疎な(110)面の優先配向に変化する。この考えに基づくと、ZnOやAlNなどのウルツ鉱型構造では、(0001)面に最密面を持つため薄膜化するとc軸が基板に対して垂直になるように成長するが、イオン照射下では原子の密度が薄い[10-10]や[11-20]方向の優先配向を持つことが予想される。このことから著者らは、ZnO成膜中にイオンを照射すると、最密な(0001)面結晶粒の成長は抑制され、(10-10)や(11-20)面の優先配向が引き起こされると考えた。そこで、Znを蒸着しながら0-1 keVの酸素イオンビームを照射し、ZnO膜を作製した。この結果から、成膜時のイオンビームのエネルギーおよび照射量によりZnO膜の配向を制御できることが示され、ZnOやAlN膜、その他の圧電膜についても金属膜やYSZ膜と同様に、ビームの照射角度を調整することにより、優先配向を三次元的に制御できる可能性がある。
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Research Products
(16 results)