2008 Fiscal Year Annual Research Report
日常言語における多義構造の研究とその定量的分析モデルの構築
Project/Area Number |
07J01861
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
大谷 直輝 Kyoto University, 大学院・人間・環境学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 認知言語学 / 談話機能言語学 / コーパス言語学 / 句動詞・不変化詞 / 身体性 / 言語の非対称性 / 用法基盤モデル / 価値付与 |
Research Abstract |
申請者らが確立した定量的な言語の意味分析モデルを用いて、意味・文法・談話などが相互作用する言語現象の分析を行った。また、データとなるコーパスの整備を行うことで、モデルの適応範囲を広げた。さらに、2007年度に滞在したカリフォルニア大学で取り組んだ談話機能言語学の知見を取り入れることで、分析の精度を高めた。 具体的には、以下の三点の研究を行った。認知言語学の観点からは、反意的な語彙関係に見られる非対称的な意味拡張を考察した。特に、主観的な意味に注目し、言語の価値付与が反転する現象を論じ、「認知言語学論考」(ひつじ書房)へ論文を執筆した。談話機能言語学の観点からは、談話内で一定の機能を持つ、二種類のaside構文の分析を行った。コーパス言語学の観点からは、申請者の確立した定量的分析モデルを、「新しい認知言語学研究法入門」(ひつじ書房)で紹介した。また、カリフォルニア大学のGries教授と、語彙の多義性を定量的に扱う共同研究を行った。 申請者の研究は、客観的な分析が難しく、従来は分析が進んでいなかった、言語の主観的な意味に対して、大量の言語データを利用し、言語の表層的な分布や頻度だけでなく、文法的・意味的・談話的な要素をコーディングすることで、科学的な分析方法を提示する。そのため、従来は、学際的な研究が少なかった認知言語学、コーパス言語学、談話機能言語学を統合し、理論と方法論が一体となった、反証可能な言語分析が可能になった。 以上の研究成果は、国内外の学会で5本の口頭発表と、6本の論文として、公開された。
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Research Products
(13 results)