Research Abstract |
2007年度は,プレスチンの変異体解析を行い,プレスチンを構成するアミノ酸それぞれの役割を明らかにすることを目指した.プレスチンが属するSLC26ファミリー内で高度に保存されている,プレスチンの127番目から始まるアミノ酸配列GTSRH,及びプレスチンに特異的に存在する122番目及び225番目のメチオニン(M122,M225),192番目及び415番目のシステイン(C193,C415),428番目のスレオニン(T428)に着目し,研究を行った.着目したアミノ酸にそれぞれ変異を加え,変異プレスチンの特性と野生型プレスチンの特性を,パッチクランプ法及びウェスタンブロッティング法により比較した.その結果,GTSRH配列はプレスチンの正しいフォールディングに不可欠であることが明らかになった.一方,M122,C193,C415,T428はプレスチンの機能発現に重要ではないことが示唆された.興味深い結果として,M225に変異を導入すると,プレスチンの活性が上昇することが示された.活性が上昇するメカニズムの解明にはより詳細な検討が必要であると考えられる.また,研究過程で,機能が低下した変異プレスチンを発現させた細胞をサリチル酸ナトリウムと共に培養すると,変異プレスチンの機能が回復するという結果を得た.変異タンパク質の機能を,遺伝子操作なしに回復させることができる本技術は,遺伝病の治療法として応用可能であると考えている.
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