2007 Fiscal Year Annual Research Report
遺伝子ネットワークとしての生命システムの進化解析とそのための計算手法の開発
Project/Area Number |
07J01905
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
岩崎 渉 The University of Tokyo, 大学院・新領域創成科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | バイオインフォマティクス / ゲノム進化 / ゲノム科学 / 遺伝子セット / 非一様 / アルゴリズム / 確率モデル / 期待値最大化法 |
Research Abstract |
本研究の最終的な目標である遺伝子ネットワーク進化解析を行うためには、その前段階として遺伝子セットの進化解析を行う必要がある。この遺伝子セットの進化解析に関しては、これまで、遺伝子の獲得や欠失が進化の過程で徐々に起こることを仮定した手法が主として用いられてきた。これに対し、実際にはゲノムは進化の過程でしばしば急激な遺伝子の獲得や欠失を起こす。例えば、ゲノム重複による遺伝子の急激な獲得や寄生生活への移行による遺伝子の急激な欠失がその代表例として挙げられる。このため従来の手法では遺伝子セット進化推定の精度が低く、遺伝子ネットワーク進化解析の段階に進む上で不十分であった、そこでH19年度の研究では、上で述べたゲノム進化における非一様性を仮定し、かつ、数百種のゲノム配列に適用できる効率性を持った、遺伝子セット進化史の新たな推定法を開発した。本手法は従来手法よりも予測精度の点で大きく上回っているのみならず、数百のゲノム配列を数日のうちに解析できる効率性を持った手法であり、かつ、微分方程式と線形代数によって表現された確率モデルを期待値最大化アルゴリズムと組み合わせた、新たな数理工学・情報科学的な手法の提案という側面も持った手法である。これらの点が評価され、本手法は、バイオインフォマティクス分野において最も評価が高いとされている国際会議ISMBにおいて査読付き論文として受理された。さらに、国内外の学会においても発表を行い、ゲノム進化や数理工学・情報科学といった幅広い分野の研究者からの反響を得ている。
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Research Products
(5 results)