2008 Fiscal Year Annual Research Report
遺伝子ネットワークとしての生命システムの進化解析とそのための計算手法の開発
Project/Area Number |
07J01905
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
岩崎 渉 The University of Tokyo, 大学院・新領域創成科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | バイオインフォマティクス / 進化 / ゲノム / ネットワーク / パスウェイ / メタゲノム |
Research Abstract |
初の生物ゲノムとしてのインフルエンザ菌ゲノムの解読から10年以上が経過した.その間,解読済みゲノム配列の数は驚異的なペースで増え続け,間もなく1000に届こうとしている.このことは,これら大量のゲノム配列情報を生物種横断的に用いてゲノムの進化過程を再構築することにより,ゲノムやそこにコードされた遺伝子群がどのようにして現在の姿になったのかを探ることが可能になったことを意味する. 本年度は,前年度に開発した数百生物種規模のゲノム配列情報をもとに過去の生物種がどのような全遺伝子のセットを持っていたかを高い信頼度で効率よく推定するための新規手法を160種の原核生物ゲノムデータに適用し,代謝パスウェイの進化過程の再構築・解析を行った.そして,パスウェイは個々の遺伝子の獲得以上に活発かつ急激に獲得されてきたこと,この進化は遺伝子グループとしての遺伝子水平伝播によること,そして,その中でも初期のパスウェイ獲得は異なる系統群間で有意に同時代的に起こったことを明らかにした.この結果をもとに,原核生物のコミュニティ内での双方向的な遺伝子水平伝播によって代謝パスウェイの獲得が促進される,という新たな進化モデルを提案した. 現在100を超えるメタゲノム解析プロジェクトが進行中であり,この数は超高速シーケンサの普及などによってさらに増えていくと考えられる.今後,これらのメタゲノムデータを解析していくことにより,新規代謝パスウェイが原核生物コミュニティ内においてどのように実際に獲得されるかについての研究が進展していくことが期待される.
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Research Products
(4 results)