Research Abstract |
現在,遺伝子定量手法としてReal-time PCR法が一般的に利用されているが,Real-time PCR法は,(1)外部標準法であるため,測定サンプル中に遺伝子増幅阻害物質が存在した場合,定量値を過小評価してしまう恐れがあり,(2)リアルタイムに蛍光を測定する必要があるため,専用の高価な装置が必要,といった欠点を有する。そこで我々は,蛍光消光現象を利用することで,内部標準法で,かつ,遺伝子増幅後に蛍光を測定することで定量が可能なAlternately binding probe competitive-PCR(ABC-PCR)法の開発に成功した。まず,遺伝子組換えダイズの内在性遺伝子Lelをモデルターゲットとして,ABC-PCR法の基礎技術を確立した。次に,ABC-PCR法を遺伝子組換えダイズの混入率を測定に応用した。遺伝子組換えダイズが一定の割合で混入された標準試料から,ABC-PCR法を用いて遺伝子組換えダイズの混入率を算出した。また,Real-time PCR法にて同様の測定を行った。その結果,ABC-PCR法で算出した標準試料の遺伝子組換えダイズ混入率の値は,実際の混入率に近い値を示した。また,遺伝子組換えダイズを0.5%以上含む標準試料において,それらの相対標準偏差RSDは,Real-time PCR法と同様に25%未満であった。よって,ABC-PCR法は遺伝子組換えダイズ混入率の測定に有効な手法であることが示された。さらに,ABC-PCR法をSingle Nucleotide Polymorphism(SNP)アレル頻度測定にも応用し,またABC-PCR法の発展型として,検量線を必要としないCalibration-curve-freequantitative PCR(CF-qPCR)法,アンモニア酸化酵素遺伝子をモデルとしたABC-LAMP法の開発にも成功した。
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