Research Abstract |
前年度に,蛍光消光現象を利用することで,内部標準法で,かつ,遺伝子増幅後もしくは遺伝子増幅前後に蛍光を測定することで遺伝子の定量が可能なAlternately binding probe competitive-PCR(ABC-PCR)法の開発に成功している。本年度では,ABC法を新規遺伝子等温増幅法であるLoop-mediated isothermal amplification(LAMP)法に応用することで,より迅速かつ安価に定量が可能なABC-LAMP法の開発を行った。 ABC-LAMP法の確立にあたり,モデルターゲットとして,Nitrosomonas europaeaのamoA遺伝子を用いて検討を行った。N.europaeaから抽出したゲノムDNAを用いて,ABC-LAMP法およびReal-time PCR法により,amoA遺伝子のコピー数を測定した結果,ABC-LAMP法はReal-time PCR法と同等の精度・再現性を持つことがわかった。さらに,遺伝子増幅阻害物質を添加し,ABC-LAMP法,およびReal-time PCR法における定量値への影響を評価した結果,Real-time PCR法では,遺伝子増幅阻害物質の濃度が増加するにつれ真値よりも低い値を示したが,ABC-LAMP法では,これらの濃度に依存せず真値に近い値を示した。以上より,ABC-LAMP法は正確かつ安価な遺伝子定量が可能であることが示された。次に,遺伝子組換えダイズの内在性配列Le1および組換えダイズ特異的配列RRSをターゲットとして,ABC-LAMP法を適用した結果,それぞれの遺伝子のLAMPプライマーの設計及び検量線の作成に成功した。さらに,本手法の原理を応用することで,C型肝炎ウイルスのヘリケース活性測定法及び白血病マーカー遺伝子の測定法の開発等にも成功した。
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