2007 Fiscal Year Annual Research Report
歪み誘起熱酸化プロセスを用いたシリコン極薄酸化膜形成機構の解明
Project/Area Number |
07J01914
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
小川 修一 Tohoku University, 多元物質科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | リアルタイムXPS観察 / シリコン熱酸化 / RHEED-AES / 点欠陥 / Si原子放出 / 酸化誘起歪み |
Research Abstract |
本研究では熱酸化プロセスにおいて発生する体積膨張による歪みが酸化膜成長速度へ与える影響を解明し、その歪みをシリコン酸化膜成長に積極的に利用する『歪み誘起熱酸化』の定量的な反応モデルを構築することが目的である。『歪み誘起熱酸化プロセス』とは基板温度の昇降や基板表面原子の置換によってSi基板に意図的に歪みを発生させ、その歪みによって誘起された点欠陥を酸化膜形成に用いる手法である。以上の目的達成のため、本年度は以下の研究を行った。 (1)酸化誘起歪みと酸化膜成長速度の同時観察手法の開発 高輝度放射光を用いたリアルタイムXPSによって、酸化反応中におけるSi 2p光電子スペクトルの時間発展を測定した。Si^αとSi^βピークを用いて界面酸化誘起歪みの大きさを見積もることができた。界面酸化速度は酸化誘起歪みによって歪んだSi原子の量と直線的な相関を示すことを明らかにした。界面歪みは酸化温度によって変化するが、これは表面酸化における0原子の吸着サイトに依存するためだと考え、準安定酸素を考慮したSi表面酸化反応モデルを提案した。 (2)酸化誘起歪みを取込んだ極薄Si酸化膜形成モデルの構築と酸化速度式の定量化 酸化誘起歪みに比例した酸化速度を説明するために、酸化誘起歪みによって発生した欠陥(空孔+放出Si原子)が界面酸化の反応サイトになるというモデルを用いて界面酸化の反応速度式を提案した。この反応速度式は実験結果を大変良く再現でき、酸化速度が酸素圧力の1/2乗に比例するという実験結果や酸化膜厚の時間変化の実験結果を再現することができた。
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