2008 Fiscal Year Annual Research Report
大量ゲノム情報のデータプロファイリングによるRNA制御ネットワークの再構築
Project/Area Number |
07J01924
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
谷内江 望 Keio University, 大学院・政策・メディア研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | RNA / 進化系統プロファイリング / バイオインフォマティクス / データマイニング / リン酸化ブロテオーム / 質量分析 / ベキ則 / 優先的選択成長 |
Research Abstract |
前年度までに開発した「大量ゲノム情報の進化系統プロファイリングによって生体内RNA分子及びタンパク質分子の相互作用ネットワークを予測する」手法について、その多面的応用性を検討した。今年度より細胞内シグナル伝達ネットワークのRNA分子による制御経路の新規発見を目指し、質量分析計より得られたリン酸化タンパク質及びそれらのリン酸化部位についての大規模情報(リン酸化プロテオーム)について統計学的手法を駆使してデータマイニングを行った。リン酸化プロテオームデータの統計的特徴から得られたリン酸化部位獲得進化についての仮説、リン酸化活性動態とリン酸化部位周辺アミノ酸配列モチーフの関連性、タンパク質立体構造上におけるリン酸化部位の特徴についてそれぞれ議論し、RNA分子による細胞内シグナル伝達制御経路の新規発見のための有用な知見を得た。特に、大規模リン酸化データの統計的特徴から得られたリン酸化部位獲得進化についての議論では、はじめにリン酸化部位の数に従うリン酸タンパク質数の分布がベキ則になることを発見した。統計物理学や複雑系科学の分野では、乱数より発生し得る正規分布や対数正規分布とは異なり、ベキ則は優先的選択成長プロセスによって生成されることが知られている。したがって、進化的なリン酸化サイトの獲得が優先的選択成長プロセスを経てきたという仮説を立て、バイオインフォマティクス解析を行い、本仮説を補助することのできる複数の結果を得た。この成果は国際論文誌Molecular and Cellular Proteomics誌に掲載された。さらにDNAに情報を記録する技術に関連した新規理論をまとめた論文を発表し、国際論文誌Systems and Synthetic Biology誌に掲載された。
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Research Products
(4 results)